この度、NEORT++は大原崇嘉の個展「スクリーンの肉」を開催いたします。

近年、映像メディアは解像度やフレームレートの向上によって、その媒介としての透明性を高めてきた。他方、ポータブル・デバイスの普及や触覚的インターフェースの常態化は、スクリーンを前景化し、映像を触れうる可能性を帯びた界面として経験させている。
この二つの傾向は、美術史家 アロイス・リーグル が区別した「光学的(optisch)」と「触覚的(haptisch)」という視覚のモードに通じる。前者が距離を保ち奥行きのなかに対象を捉えようとするのに対し、後者は距離を圧縮し、表面へと近接する。しかし今日のメディア環境では、両者は排他的に切り替わるのではなく、むしろ遠近法的な深さと界面的な浅さは、同一の経験のうちで同時に強調され、重なり合っているように感じる。
この状況のもとで、映像は主客の枠組みを越え、身体性や運動を含み込む出来事へと変わりつつある。この変容を考えるうえで、モーリス・メルロ=ポンティ の現象学は示唆的である。身体は世界を受け取る装置ではなく、関係のなかで意味を生成する「生きられた身体」である。
本展では、ディスプレイそのものが運動する状況をつくり出す。その状況のなかで鑑賞者は、それを目で追い、焦点を合わせ、周囲を移動しながら関わる。深さと浅さが交錯する場において、映像は身体と世界のあいだに生じる関係として立ち現れ、見ることの輪郭をゆるやかに揺り動かす。


- Exhibition Information -
大原崇嘉 個展「スクリーンの肉 / Screen Flesh」
会期: 2026年3月13日(金)– 3月29日(日)
開廊時間: 14:00 – 19:00(水曜日 – 日曜日)
休廊日:月曜日、火曜日、祝日 ※3月20日(金・祝)は休廊となります
会場: NEORT++ 東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 maruka 3F
アクセス: JR馬喰町駅 C4出口
助成: 公益財団法人 花王 芸術・科学財団


詳細URL: https://two.neort.io/exhibitions/screen_flesh