明治から昭和まで活躍した河野通勢(こうの・みちせい/1895-1950)の画業を紹介。第二部となる本展覧会は「物語」をテーマとします。
ハリストス正教会の熱心な信者だった父・次郎の影響で、9歳で洗礼を受けた通勢にとって、聖書の物語やそこに描かれる挿絵、また教会に飾られたイコン(聖像画)は身近な存在でした。通勢は聖書物語をたびたび画題とし、豊かな想像力が生かされた挿絵から、細密な筆致で表された油彩画まで多様な作品を残しました。また、愛読していた雑誌『白樺』に連載された長與善郎「項羽と劉邦」(1915年発表)を読んで描いた挿絵を展覧会に出品すると、それを見た長與から単行本を刊行する際の挿絵と装幀を依頼されました。これを皮切りに文学作品の挿絵も手がけ、実篤の伝記小説「井原西鶴」の新聞連載時の挿絵も担当しています。
長與に「想像画家」と評された河野通勢が表現した物語世界をご覧に入れます。