魂を見つめる影と、人々を魅了する光。

【展示概要】
ベル・エポック(良き時代)と称された19世紀末のパリは産業や科学技術が発展し、文化芸術が繁栄した豊かな時代でした。アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)は当時流行していた芸術様式「アール・ヌーヴォー」を代表する芸術家として、植物や曲線的な装飾で彩られた華やかな女性像のポスターなどで有名になりました。
一方、世紀末に対する不安からオカルティズムなどに傾倒する人々も現れ、愛や死のような形のないものを表現する芸術様式「象徴主義」が登場するなど退廃的な雰囲気も漂っていました。ミュシャが描いた作品にも、このような潮流の影響が見て取れます。時代の光と影から生まれた対照的な主題を、ミュシャは卓越した技術で描き分けました。
本展では光と影のような二面性をテーマに、ミュシャの作品に見られるテクニックや創作の源、込められた想いを解き明かします。

【展示構成】
第1章 「ベル・エポック」とミュシャのポスター
さまざまな商品を宣伝するミュシャのポスターには、どのような特徴があるのかを探ります。

第2章 「アール・ヌーヴォー」の流行
ミュシャは、室内装飾用のポスターである「装飾パネル」などで多くの人々の目を楽しませました。本章ではデザイナーとして活躍したミュシャについて紐解きます。

第3章 アカデミーでの修練と油彩画への取り組み
本章ではポスター画家として有名になる前の素描、晩年に至るまで描き続けた油彩画を中心にミュシャ作品のアカデミックな一面をご紹介いたします。

第4章 神秘的な世界への関心
産業や科学技術の急速な発展と「世紀末」という時代の転換期に対する不安からオカルティズムなどに傾倒する人々も現れます。ミュシャもその一人です。本章では、ミュシャの描いた神秘的な作品を中心に展観いたします。

第5章 形のないものを表現する
愛や死など形のないものを象徴的に表現する芸術様式「象徴主義」が登場し、その影響を受けたミュシャが描いた作品に注目します。また、常に心に秘めていた祖国への想いを表現する創作活動へと舵を切ったミュシャの作品もご紹介します。