フォーカス

オークションからマイアミ・アートフェアまで──多彩な冬のアートシーンをピックアップ

梁瀬薫

2011年12月01日号

画廊展より:リチャード・セラ新作展「Junction/Cycle」

RICHARD SERRA: JUNCTION/CYCLE
2011年9月14日〜11月26日
ガゴシアン画廊
http://www.gagosian.com/

 2007年にNY近代美術館で開催された大規模な回顧展は、まだ記憶に新しい。スチールの巨大な彫刻作品による迷路のような空間に訪れた誰もが吸い込まれた。この秋チェルシーのガゴシアン画廊では新作2点が披露された。長さ約17メートルの《サイクル》と約23メートルにもなる《ジャンクション》である。美術館規模の広大なギャラリーを埋め尽くす鉄の壁は圧巻だ。人ひとりが通れるほどの狭い空間が広がる。「空間は素材だと考えている。空間の確かさはすべての関わりを超える。わたしは彫刻というフォルムで空間の明瞭化を企てている」
──リチャード・セラ。


RICHARD SERRA
Cycle, 2011
Weatherproof steel(62' x 56' x 14')
© Richard Serra. Courtesy Gagosian Gallery. Photo by Lorenz Kienzle


RICHARD SERRA
Junction, 2011
Weatherproof steel 13' 1/2" x 75' 1/2" x 49' ─
© Richard Serra. Courtesy Gagosian Gallery. Photo by Lorenz Kienzle

インターナショナル・プリントフェア

IFPDA Print Fair
2011年11月3日〜11月6日
IFPDA
The Park Avenue Armory
643 Park Avenue at 67th St. New York, NY 10065
http://www.ifpda.org/

 今年で21年目を迎えるプリントフェア。毎年パークアヴェニューにある歴史あるアーモリー(兵器庫)にて開催されている。今年は90以上の画廊が世界から集結。1990年以降、版画がひとつの芸術素材として認知されてから、多種多様な実験的な作品が制作されてきた。近年ではエリザベス・マレーと版画工房とのコラボレーションによる立体的な版画作品をはじめ、サイズの大きなもの、技法に凝ったチャック・クロースのポートレート作品など、ユニークな版画作品が披露されてきた。今年は新人のアーティストよりは、ドナルド・バチェラー、アレックス・カッツ、キース・ヘリングなどの80年代を代表する現代美術作家の作品に人気が集まったのが特徴的だった。


プリントフェアのブースの様子

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