フォーカス
グローバリズムのなかのアメリカ現代美術のいま──出発はウォーホルから
梁瀬薫
2012年10月01日号
この秋注目の展覧会
Kevin Fransis Gray
ロンドン在住作家による彫刻作品群。仏像を思わせる奇妙な像は、近所で出会った人々を題材にしているという。ポップとストリート・カルチャーが出発地点となっている。
Richard Phillips
セレブをモチーフにした巨大な絵画作品と映像作品で知られるリチャード・フィリップスの個展は、美術館スペースを誇るガゴシアン画廊で大規模に展開された。金髪のモデルの絵は、コマーシャルかテレビのリアリティー・ショー。明るい絵が巨大な空間のなかで迫ってくるが、意味を持たない。「アートとは何か判断できなくなったとき、その絵が何か確定できなくなるときに、何か真の経験をしているのだ」。(リチャード・フィリップス記述)。
“Concordia, Concordia” by Thomas Hirschhorn
2012年1月にイタリアで沈没した豪華船、コスタ・コンコルディア船事故をテーマにしたトーマス・ハーシュホンのインスタレーション作品。インスタレーションはまさに天地がひっくり返ったカオスを表現。本人曰く「失敗するにはでかすぎるものをつくりたかった」。カジノや豪華な家具が破壊され、壁や天井からさまざまな物が秩序無く突起する。遠近感や空間自体がここでは無意味だが、新しいフォルムとして構築されている点に注目したい。
Bound Unbound: Lin Tianmiao
バウンド・アンバウンド 林天苗
中国現代美術の女性作家第一人者として認められている林天苗の大規模な個展。キキ・スミス、ルイーズ・ブルジョア、アン・ハミルトンといったアメリカ人女性アートィストに影響を受けたフェミニスティックで工芸職の強いインスタレーション。
Jean-Michel Othoniel: My Way
「ジャン=ミシェル・オソニエル:マイウェイ」展
フランス出身のインスタレーション作家。アルテ・ポーヴェラ、ミニマリズム、コンセプチュアル・アートの影響を受けた作家の25年のアート・キャリアを見る。
Yayoi Kusama
草間弥生 展
60年代から約10年間アメリカで芸術活動を成し遂げ、83歳の現在においても勢力的に制作を続ける草間弥生のアメリカへの巡回展。