フォーカス
ル・コルビュジエの現代性 生誕125周年記念イベント巡り
木村浩之
2012年12月01日号
ル・コルビュジエは終わらない
2011年の第35回ユネスコ世界遺産委員会(パリ)の直前になって、ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(ICOMOS)が、ル・コルビュジエの建築19作品群を登録にふさわしくないと勧告。結果、2度目の申請だったにもかかわらず、再度登録延期となっている。東京の国立西洋美術館が含まれていたことから日本でも話題になった。単一建築家に属する複数の建築群の登録認定というのはかつて例がなく、また複数の国家・地域にわたることから、「ユネスコにはモダンすぎたのではないか」とも言われている。ただ当然、もし今年に間に合っていれば、生誕125周年イベントも違った広がりと密度が得られたに違いない。
それでも、人気現代アーティスト/現代建築家の個展頻度をしのぐ勢いで、現在もル・コルビュジエ展、関連イベントが世界各地で開催されている。頻度や場所の多様性だけでなく、それぞれの地に残したル・コルビュジエの軌跡を扱うことで、各展覧会が場所場所にローカライズされていることも興味深い。
ル・コルビュジエは、過去の遺産ではなく、まだまだわれわれにとってアクチュアリティにあふれたテーマとして生きているのかもしれない。
展覧会「世界遺産の住宅建築とル・コルビュジエ」
ル・コルビュジエの住宅8作品と、世界遺産に登録されている他建築家らによる20世紀の住宅7作品を展示。
会場:大成建設ギャルリー・タイセイ(神奈川)
会期:2012年5月31日〜11月10日(終了)
展覧会「ル・コルビュジエ 南アメリカ1929」
ル・コルビュジエの74日間にわたる初の南米訪問に焦点を当てた企画。訪問当時に描かれた都市マスタープランのオリジナルスケッチなど展示。
会場:サンパウロ大学マリアアントニア文化センター(サンパウロ)
会期:2012年8月23日〜10月21日(終了)
展覧会「ウィリー・リッツォによるル・コルビュジエ」
フランスの芸能雑誌『Paris Match』の特集のために撮影されながら、未公開だった写真の展示。ル・コルビュジエのアパート、アトリエなど複数の場所にてカラーで撮影されている。ウィリー・リッツォはブリジット・バルドーやココ・シャネルなどのポートレートも撮影している写真家。
会場:パリ、ル・コルビュジエ財団(メゾン・ラ・ロシュ)
会期:2012年9月19日〜12月15日
詳細:http://www.fondationlecorbusier.fr/
展覧会「ル・コルビュジエ 想像のミステリー 絵画と建築の間で」
建築とアートを包括的に展示しているだけでなく、ロシア(ソ連)でのプロジェクトも重点的に扱っている。ジャン・ルイ・コーエンのキュレーションによる。
会場:モスクワ、プーシキン美術館
期間:2012年9月25日〜11月15日(終了)
展覧会「ラ・ショー=ド=フォンからチャンディガールまで ル・コルビュジエ 125」
会場:チャンディガール(インド)、アリアンス・フランセーズ
会期:2012年10月17日〜10月31日(終了)
展覧会「ル・コルビュジエとイタリア 1907-1965」
若き頃のイタリア旅行の影響、エスプリ・ヌーヴォー時代のカルロ・カルッラやジョルジョ・モランディなどからの影響、そしてCIAMや個展などのために度々イタリアを訪れたときのドキュメントなどを紹介。ヴェネツィアの病院、オリベッティの電気計算センターという2つの未完のプロジェクトを展示。
会場:イタリア国立21世紀美術館(ローマ)
会期:2012年10月18日〜2013年2月17日
詳細:http://www.fondazionemaxxi.it/2012/10/15/litalia-di-le-corbusier-2/?lang=en
展覧会「イマージュの建設──ル・コルビュジエと写真」
ラ・ショー=ド=フォン展の巡回。
会場:ブリュッセル、国際都市建築センター(CIVA)
会期:2013年4月25日〜10月6日
詳細:http://www.civa.be/sub/01_1_show.asp?agid=127
展覧会「ル・コルビュジエ 機械時代のためのランドスケープ」
旅行スケッチ、写真、都市計画的プロジェクトなどを通し、ル・コルビュジエにとってのランドスケープとは何だったを再考する、MOMA初のル・コルビュジエの大規模な展覧会。ロシア展と同様、ジャン・ルイ・コーエンのキュレーションによる。
会場:ニューヨーク、近代美術館(MOMA)
会期:2013年6月9日〜9月23日
詳細:http://www.moma.org/visit/calendar/exhibitions/1321/