フォーカス
他愛ない私たちの会話:Art Dubai 2013にて
松原慈
2013年04月01日号
Aboubakar FofanaとCarpe Diemのブースで
あなたには会ったことがあるの。ニューヨークであなたも参加していたグループショウのオープニングに行ったの。覚えている?
──ああ、そうだ! 日本の藍染めについても話したよね。
そう。静岡に芹沢銈介という有名な藍染めの工芸家がいて、その話を少しした。あなたも芹沢銈介を知っていたでしょ?
──うん、知っている。すばらしいよ。
フェアに参加して、この数日どうだった?
──アラブのコレクターたちは全然興味ないみたいだよ。(向かいの別のギャラリーの壁にかかっている写真を差して)みんな僕たちにあの写真がいくらか、って聞いてくるんだよ。でも僕たちのブースには見向きもしないんだ。アラブの人たちはアフリカはほとんどまだ興味がないみたいだ。でも、ヨーロッパの人たちが僕たちにすごく関心をもってる。
Emeka Ogbohと宿泊先のホテルで
2年ぶりくらいかな。元気だった?
──ずっといろいろ飛び回ってたよ。いまは何でもやってみたいから。モロッコはどうなの?
面白い。エメカも来たらいいのに。音の観点からも信じられないくらい複雑だし、インスピレーションになると思う。
──すごく行ってみたいと思ってるよ。夏頃いるかな? 本当にモロッコみたいなところに行ってゆっくり制作したり考える時間が必要だよ。アートの生産とそれが出て行く場所や世界とは距離をおくようにしてる。ときどきこうして仕事と割り切って顔を出すけど、普段は接続を断つようにしてるんだ。僕はつくることに専念して、向こうが見つければいい。自分の作品のプロモーションっていうのもしないし。でも、その分、ときどきこうやってこういうイベントでトークをしたりってことが必要になってくるんだ。
《音》の売れ行きはどう?
──悪くないよ。まだ新しいものだから、売り方は試行錯誤だけど!