フォーカス
ニューヨークの夏はアウトサイドアートの旬
梁瀬薫
2013年07月01日号
Red, Yellow and Blue (2013) by Orly Genger/オルリー・ゲンジャー「赤、黄、青」(2013)
マディソンスクエア・パーク Madison Square Park
2013年5月2日〜9月8日
原色の波が公園の木々の間にうねる、ロープによるアートが出現。新緑のマディソンスクエア・パークに施された作品は、マンハッタンのほぼ20倍の長さに及ぶ約426.72kmもの再利用のロープが使用され、約13,230ℓの塗料が使用されているという。ロープはすべて手作業で編まれ、完成までには2年以上かかったという驚くべき作品だ。これは美術学生時代から素材に執拗だったというニューヨーク出身の女性アーティスト、オルリー・ゲンジャーによるインスタレーションである。2003年にデビューをして以来ずっとロープを駆使してきている。「編む」という伝統工芸的作業は女性的であるが、これまでの室内でのインスタレーションも圧巻だ。量感という点でも空間の操作という点でもリチャード・セラの鉄の彫刻に匹敵するといっても過言ではない。普段見ている公園の風景がロープにより異なる光景となり、草木の存在と公園という空間を改めて感じ取るきっかけを与えてくれる作品だ。