フォーカス
社会の声を反映するアメリカの美術展──今アートを支える力とは?
梁瀬薫
2011年04月01日号
話題の展覧会
バイ・バイ・キティー!!!
Bye Bye Kitty!!! Between Heaven and Hell in Contemporary Japanese Art
「可愛い文化」と「おたく」だけではもう日本は語れない? デヴィッド・エリオットが現代の日本社会を会田誠、小谷元彦、さわひらき、米田知子、塩田千春ら16名の現代美術アーティストで切る。壊滅的な現状において生きること、日本人がすべきこととは何かを問いかけているようだ。
(入場料の50%が地震際涯義援金に寄付される)
ジョージ・コンド:メンタル・ステイタス
George Condo: Mental States
80年代のアメリカ経済危機の中でニューヨークから生まれたストリートアートやニューペインティングの動向のなか、「古典伝統絵画贋作」を自ら唱え、レンブラントやピカソ、ヴェラスケスやアメリカのカートゥーンまでを範囲にし、独特な絵画作品を30年間制作し続けているジョージ・コンド。デフォルメされ、グロテスクなポートレート作品はコンドのトレードマークともいえるスタイルだが、今展では抽象絵画作品も披露。「抽象とは性質の転換だ」と声明するコンドの作品は色や線が交錯する複雑な画面だ。
グレン・ライゴン:アメリカ
Glenn Ligon: AMERICA
1960年ブロンクス生まれの生粋の黒人ニューヨーク作家が探求し続けるアメリカ。それは人種、言語、アイデンティティー、そして欲望である。ホイットニー美術館でのミッドキャリアにおける回顧展では、ビジュアルアート、歴史、文学、そして個人的体験をもとにネオンや文字などによるコンセプチュアルな作品で現代社会を描写する。
ローリー・シモンズ:The Love Doll: Days 1-30
Laurie Simmons: The Love Doll: Days 1-30
1970年代からおもちゃや人形、日常のオブジェを使って偽装的な世界を写真作品やフィルムで描写しているローリー・シモンズの久々の新作がローワー・イーストサイドの画廊で開催された。新作に起用された人形は日本で作られたタイトル通りの「ラブ・ドール」。日本の漫画に登場する、顔だけがあどけない少女の表情をした等身大のフィギュアでシーンが設定されている。これまでおもちゃの人形で仮想空間を創造してきたシモンズがヴーチュアル・リアリティーの究極のファンタジーに行き着いた。