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愛知  一藤木葵
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exhibition村岡三郎展

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 毎年、年の始めの展覧会は、そのギャラリーが一押しの作家の個展が開かれることが多い。1月、例えばギャラリーの集中している銀座を歩くと、その年、最も注目される作家に出会うことができる。名古屋のギャラリーもご多分に漏れず、注目の作家の展覧会が並んだ。
 名古屋の栄にある現代美術ギャラリー、KENJI TAKI GALLERYは、村岡三郎の新作展で、2000年の幕を開けた。
 村岡三郎は、1950年代から一貫して鉄を素材に使っている作家だ。鉄でできた脚の上にガラスの板がのり、作業台のようになっている。ガラスの下には、酸素ボンベが横たわり、ガラスの上には、焼き切られた一本の酸素ボンベがのっている。そのボンベの頭の部分とそこの部分はガラスの端と端にそれぞれ置かれ、その間を硫黄の黄色い粉の線がつないでいる。さらにその作品が置かれた部屋の奥には、使いかけのボンベが置いてある。作品のタイトルは「Work Desk-作業台」。奥から誰かがでてきそうな、工場の作業中の風景だ。
 2階には、ドローイングも展示されている。村岡自身が、自分の身体に左手で触り、その感触や脈の動きを右手で描いたものだ。去年秋、東京オペラシティアートギャラリーで開かれた「感覚の解放」展で展示された彼の作品は、銅でできた部分の温度が、その日の村岡自身の体温と同じだった。ドローイングを見ていたら、その「エントランス」という作品のことを思い出した。
 彼の作品は、一見無造作だが、それは力強い行為の軌跡だ。そしてそこには生と死のドラマが見え隠れしている。
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村岡三郎展会場:KENJI TAKI GALLERY
   愛知県名古屋市中区栄3-20-25
会期:2000年1月13日(木)〜2月18日(金)
開廊時間:10:30〜13:00 14:00〜18:00
     休廊日=日、月曜 祝日会期中無休
入場無料
問い合わせ先:Tel. 052-264-7747 KENJI TAKI GALLERY

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exhibitionイミ・クネーベル展

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イミ・クネーベル展

イミ・クネーベル展

 気持ちのいい、抽象画だ。90年代後半、イミ・クネーベルは、鮮やかな色彩があつく塗られた幾何学的な形態の金属パネルを組み合わせる作品を数多く発表している。今回の個展も、その流れに属する。
 また今回の個展では、先の鮮やかな色彩に満ちた作品がある一方で、真っ黒に塗られた作品も出展されている。この『黒い四角形』は、彼の創作活動の流れの中で、初期だけでなく、今でも繰り返し現れる。
 60年代後半に作品を発表し始めて以来、彼は一貫してこうした抽象的な形態の作品
を発表し続けている。これは、彼の師である芸術家カジミール・マレーヴィッチの
「物質を抽象化し、経験をもとに純粋なフォルムを作り上げる」という考え方の体現
である。また同時に彼は、ヨーゼフ・ボイスの「物質はエネルギーの蓄積であり、エ
ネルギーが形を変えたものである」という思想も受け継いでいる。
絵画性を追求しながらも、その物質性にこだわるという考え方も、彼の作品を貫いて
いる。フォルムと物質性。彼は、新しい絵画の表現を切り開こうと挑戦し続けている
のだ。
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会場:AKIRA IKEDA GALLERY
   愛知県名古屋市中区錦1-3-31
会期:1999年11月2日(火)〜2月29日(火)
開廊:10:00〜18:00 休廊日=日・月曜日・祝日
入場無料
問い合わせ先:Tel. 052-211-6159 AKIRA IKEDA GALLERY

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exhibition平川典俊「潮騒」展

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 平川典俊は60年生まれ。大学で応用社会学を学び、広告関係の仕事をしながら世界各国をフィールドワークした。80年代の後半から、ヨーロッパやアジア、日本を往復しつつ、各地で個展を開いてきた。例えば、公衆便所に女性を座らせて撮った写真作品のシリーズがある。彼は、写真や映像で社会のシステムの矛盾や制度の虚構といったものを表してきた。
 今回の個展では、カリブ海沿岸で撮った写真作品を発表している。淡々とカリブ海の島の風景が写真で切り取られている。「穏やかな湿った南風に混じってカリブ海のざわめいた潮騒が眼の前の茂みの向こうから聞こえてきた。」と、彼は言う。
 カリブ海特有の脳天気な風景と人々の表情が写真の表面からは見て取れる。しかし光に満ちた風景の中に、厳しいとは言わないまでも、その社会に依存する虚構が見え隠れしている。
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平川典俊展会場:Gallery HAM
   愛知県名古屋市東区東桜1-3-8
会期:1999年12月18(土)〜2000年2月12日(土)
   12:00〜19:00 休=日、月曜、祝日
入場料:無料
問い合わせ先:Tel. 052-972-9501 Gallery HAM

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