エキサイティングなソウルの市場
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韓国に行ってきた。光州ビエンナーレを見て、ソウル在住のアーティスト真喜志奈美さんとキム・ミジョンさんの案内でソウルのギャラリー巡りをする。真喜志さんたちは女性2人組のユニットで、昨年ガレリア・キマイラでソウルの高層アパートの風景をモチーフにしたクールなビデオ作品を発表している。2人はベルリンの美術大学で知り合って共同制作を始め、今はソウルでデザイン事務所を開きながら活動を展開している。9月に水戸芸術館クリテリオムでの展示が予定されている。
彼女たちの話を聞いたり一緒に町を歩いていて感じたのは、良い意味でソウルの現代アートの世界は狭いということだ。アート・ソンジェという現代美術館では「KOREAMERICAKOREA」という、アメリカ在住韓国人アーティストたちの興味深い展覧会を開催していたが、このショップに真喜志さんたちがデザインしたTシャツやメモパッドが置いてある。デウーという、日本でいえばトヨタのような巨大自動車メーカーが運営するこの美術館のチーフ・キュレーター、キム・スンジャンさんと意気投合して商品開発が行われたとのこと。デウー社の社長令嬢であるスンジャンさんはこれまでにも質の高い企画を精力的に行っている。気さくでとてもチャーミングな方だった。また夜にお洒落なバーに連れていってもらった時には、著名な建築評論家たちとばったり会った。「がんばってる?」という感じで真喜志さんたちを温かく応援する雰囲気が伝わってくる。彼女たちの事務所もオープンして2年だが、需要もあって軌道に乗ってきたところだという。
甘酸っぱいマッコリの味が
たまらない……。
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東京のように肥大してしまった都市と異なり、ソウルにはチャンスがあふれているように思える。若々しいエネルギーに満ち、近い人間関係でどんどんプロジェクトが展開していく。また話によれば韓国人特有のせっかちさが、仕事のスピードに結びつくのだという。こういう雰囲気はベルリンにも似ている。エスタブリッシュされていない、新しいアイデアと起動力が受け入れられる環境なのだ。
ビビンパや冷麺、餃子鍋、マッコリの味を堪能しながら、ソウルの熱い空気を心地よく吸収した。 |