坂出達典 movie |
堀尾貞治 |
さて堀尾貞治は別として、このおじさん4人衆の名前は、恐らく阪神間以外の方にはあまり馴染みがないだろう。堀尾以外はいわゆるメジャーなギャラリーでほとんど発表していない。誰もみていないようなところで、ひっそりと。だが「おもろいこと」に対するどん欲さは人一倍、そんな人たちである。
風変わりなタイトルは、どうやら何らかの形で「光」を作品の一要素としている、ということらしい。
堀尾貞治については、ここでは多くは述べまい。今回はしゃれた小品3点、ジャブである。
平井勝の表現は、量感を持ったり、求心的になることを常に巧妙に回避する。床の板目につま楊枝が挿してあったり、ぶら下がったセロテープのさきがぐしゃぐしゃに丸めてあったり。作品に自己を注入するというよりも、自我がどんどん透き通り、フィルター化していくような感覚がある。今回は色とりどりの楊枝と、幅広の透明テープが窓際に設置され、太陽光を乱反射していた。
平井勝(左)と山下克彦(右) |
山下克彦と坂出達典は、六甲アイランドの野外展で、靜と動のコントラストが鮮やかなパフォーマンスを、毎年行っている。本当に「うまい」人たちで、毎年何をやってくれるか楽しみだ。本展の出品作もやはり同様のコントラストを印象づける。山下の作品は壁面に立て掛けたガラス板の背後に電熱器が置かれ、オレンジ色に発光するパターンを平面作品として意識させる、というもの。沈思黙考、凝視を誘うオブジェである。
本展の白眉は、坂出のインスタレーションだったと思う。彼は一種のサウンド・オブジェを作り続けている。オブジェとはいっても、構造的にまとまった、しっかりしたものではない。ジャンク・パーツの組み合わせは、構成よりも解体への意志を感じさせ、一見アバウトでありながら、実は極めて緻密なセッティングとセンスのよさに裏付けられている。今回は、天井からつるされたモーターの先にソーラー・バッテリーが、さらにその先端には紐とおもりが取り付けられている。スタンドの光でバッテリーがモーターを回転させ、おもりは無造作に置かれた酒瓶をランダムにヒットするという、いわば「ソーラー・でんでん太鼓」。電源と光源との位置関係が常に変動するため、モーターは不規則に回転し、時にはおもりがソーラー板の上に乗っかって無音になったりする。単純明快な仕掛けでありながら、得られる結果は実に変化に富んでおり、思わず見入ってしまう。(movie)
なお、職場の撤収と日が重なってしまい、パフォーマンス・パーティーを見逃したのが非常に残念。