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Recommendation
東京 荒木夏実
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event映画 「議事堂を梱包する」

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映画 「議事堂を梱包する」
 ご存じクリスト&ジャンヌ=クロードによるベルリン旧帝国国会議事堂(ライヒスターク)梱包プロジェクトのドキュメンタリー映画。1971年から20年以上かかって、1995年6月についに実現させたプロジェクトだ。クリストの執念はあきれかえるほどすごい。
 感動的だったのは連邦議会で議員たちが侃々諤々議論を戦わせ、ついに承認されるというプロセス。大反対の保守派議員がいるのも当然なのだが、クリストたちの説得によって「いいじゃないか!」「素晴らしい発想だ」という賛成派も増えていき、独自の論を展開していく。議会の前からこの話題はニュースで放映され、ドイツ国民の注目を集める。
 議事堂を包むプロジェクトの実現は、アーティストだけでなく、第二次世界大戦のトラウマを抱えるドイツにとって、民主主義を実践するための重要な実験であったのだと思う。
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監督:ヴォルフラム・ヒッセン&ヨルク・ダニエル・ヒッセン
会場:吉祥寺バウスシアター(Tel. 0422-22-6631)
会期:2000年12月9日〜12月22日
配給・問い合わせ:「議事堂を梱包する」上映委員会事務局トキヲ Tel. 03-3475-7734

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exhibition木珠奈展「途中の森」

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荒木珠奈
 風にうねる大草原から細くて長いはしごたちがにょきにょきと伸び、天空を突き破る。荒木の新作は20世紀の最後を飾るにふさわしいパワーに満ちた力作であった。
 いつもながら彼女の素材の使い方はユニークである。パラフィン紙を焼き切り、つぎはぎに貼って大きな円形を作る。焦げた茶色の部分がランダムな線となって、世界地図を彷彿とさせる模様を描いている。上部に浮かんだこの円に呼応するように、床には丸く切って着色したフェイクファーが敷かれている。波打つサバンナ、あるいは大海原のようにも見える。パラフィンもファーも皮膚を感じさせ、独特の生々しさを醸し出す。その間を渡す華奢な木のはしごが、ユーモラスで軽妙なリズムを作る。素材、空間構成、デザインが絶妙に作用して一つの世界を確立する。
 異なる傾斜をもつはしごの一段一段の距離もまた様々である。急いだり、休んだりしながら一歩一歩着実に登っていく人生の道のりは、楽しく、苦しく、孤独で、でも他者から断絶されたものではない。国境も軽々と超えていくところに21世紀の未来を感じる。ポジティブなエネルギーに勇気づけられた。
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会場:Gallery Jin 東京都武蔵野市
会期:2000年12月19日〜12月26日
問い合わせ:Tel. 0422-28-7708

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exhibition鴻池朋子展

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鴻池朋子
 マンガ的なむき出しの少女の足と身体にまとわりついた黄金の髪。しめつけているようにも空に浮かせる翼のようにも見える。このような足と髪(のようなもの)からなる不可思議な人体のモチーフが何点も描かれている。しっかりとしたタッチで妙に上手いだけに、何とも言えないいやーな感じが肌に貼りついてくる。嫌いなのに思わず見てしまうような、神経を刺激する鴻池の絵画から、不穏なメッセージが流れてくる。
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会場:ミヅマアートギャラリー 東京都渋谷区神宮前5-46-13ツインエスビル1F
会期:2000年12月14日〜2001年1月27日
問い合わせ:Tel. 03-3499-0226

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eventヘルツォークに狂う

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ヘルツォークに狂う
 異彩を放つドイツのカリスマ的映画監督ヴェルナー・ヘルツォーク監督特集。ヘルツォークと切っても切れない主演のクラウス・キンスキーの狂気じみた個性が魅力。
 (ちなみにちらしのゴキゲンな絵はスズキコージ作)
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「アギーレ神の怒り」1972 (2001年1月27日〜2月16日)
「キンスキー、わが最愛の敵」1999年 (2001年2月10日〜23日)
「フィツカラルド」1982年 (2001年2月17日〜3月9日)
会場:BOX東中野(Tel. 03-5389-6780)
配給・問い合わせ:ケイブルホーグ Tel. 03-3423-0558

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report学芸員レポート [三鷹市芸術文化センター]

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映画「遠足」



 4月に三鷹市美術ギャラリーで開催される「Art in Paradise アメリカのアウトサイダーアート展」(足利市立美術館で巡回展スタート。会期:2月10日〜4月15日)の関連企画として、三鷹市芸術文化センターで行うシンポジウムの準備をしているところである。出品作品のコレクターであるクローディア・デモンテ、エド・マックゴィン夫妻と、アメリカのフォークアートに造詣の深いイラストレーター、安西水丸氏を招く予定。
 そんなわけで、最近アウトサイダー・アートについて色々と考える機会が多い。そもそもこのカテゴリーの呼び名も、アール・ブリュット(生の美術)、アントレインド・アート、ヴィジョナリー(幻視的)・アートなど様々で、明確な定義づけは難しいが、専門的美術教育や職業アーティストとは無縁の動機やスタイルで制作する人たちのアートといえる。彼らの多くが無学であったり精神病患者であることも大きな特徴である。日本では1993年世田谷美術館での「パラレル・ヴィジョン−20世紀美術とアウトサイダー・アート」展を始め、資生堂アートスペースでのシリーズ展、国内の活動に着目したエイブル・アート展など、様々なかたちでこの分野のアートが紹介されている。
 今回BOX東中野で上映された「遠足」は、ウィーン郊外にあるグギング芸術家の家に住む作家たちのドキュメンタリーである。精神科医レオ・ナヴラティル博士によって創立されたこの家では精神を病む作家たちが創作活動をしながら暮らしている。グギングの作家たちはいまや“売れっ子”で、世界各地で展覧会が開催されたり彼らの作品が高値で買い取られたりしている。
 映画は一人一人の作家の暮らしを追っていく。食事、散歩、墓参り、家族との面会、美術館でのレセプション、制作風景……。見るうちに、強烈な個性をもつ作風同様、彼らの人間としての個性に引き込まれ、愛着を覚え、感情移入していく自分に気づく。そしていつの間にか“彼”と“彼の作品”は私にとって切り離しては見ることのできない関係になっている。
 ファイン・アートの世界では、基本的に作品そのものの価値は作家の人となりから自立して判断されるものである。作家は、意図や効果をある程度客観的に把握して制作している。一方アウトサイダー・アーティストたちは、作品を“コントロール”する意志が稀薄だといえる。もちろん、作品自体には緻密で厳格ともいえる規則性が見られるのだが、それをどう見せるかということへの関心は薄いのだ。取り繕うことやトリックのない彼らの作品は、どきりとするほど大胆かつダイレクトに自己を露わにする。それは“単純”なのではなく、むしろ人間の心の複雑さがそのままの形で提示されたものだ。“彼”以外には表現し得ない方法で。それが見る人を強く引きつけてやまないのだ。
 アウトサイダー・アーティストの個人的歴史や、性格や、暮らしぶりに触れることは、彼らの作品に近づくための有効な方法だと感じた。それは決して“不純”な行為ではないはずである。
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映画「遠足」
監督:五十嵐久美子
会場:BOX東中野(Tel. 03-5389-6780)
上映:2000年12月16日(土)〜2001年2月16日(金)11:00〜

Art in Paradise アメリカのアウトサイダーアート展
会場:足利市立美術館 栃木県足利市通ニ丁目14-7
会期:2001年2月10日〜4月15日

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