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Recommendation
東京 荒木夏実
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exhibition北浦信一郎展

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北浦信一郎展
北浦信一郎
「別れの言葉」2001

 ぺったりと平らな色面によって分割された画面の上に、ラッカーペイントで塗られたシンプルなモチーフが盛り上がって描かれている。なんだかユーモラスで、かつ気持ちを不安にさせる絵画には、<別れの言葉><正しい生活><処世術>など意味深なタイトルが付されており、それが一層奇妙な雰囲気を強調する。トリッキーな北浦の作品は、今回13点並べて展示されることにより、その独特のリズムが小気味よく表現されていた。どこか「変」なこれらの絵は、目にも脳にも刺激的である。
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会場:東京オペラシティ アートギャラリー 東京都新宿区西新宿3-20-2
会期:2001年7月1日〜9月16日
問い合わせ:Tel. 03-5353-0756

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exhibition山口晃展

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山口晃展
 
 大和絵の表現形式を引用して独自の作品を制作する山口晃。精緻で巧みな技術による生真面目な雰囲気と、馬鹿馬鹿しいユーモアとが一体になった作風には、強烈なインパクトがある。
 今回のDMに使われている「を描く歓び」はけっこうキテる。筆をもつ人々が歓びの涙にむせびながら制作に励んでいる。しかも目はキラキラと星の入った漫画目。いったいどういうコンテクストなのか、作家は何を言いたいのか、首をかしげると同時に妙な説得力を感じる。
 この「謎」は、展覧会に人を吸い寄せるパワーとして効果を発揮しそうである。
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会場:ミヅマアートギャラリー 東京都渋谷区神宮前5-46-13
会期:2001年8月30日〜10月6日
問い合わせ:Tel. 03-3499-0226

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exhibitionこどもから楽しめる美術展「水の誘い」

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こどもから楽しめる美術展「水の誘い」
「水」をテーマに油彩画、版画、ガラス器、衣服など約40点が展示される。美術の中で水がどのように表現され、そこにどのような意味が託されているのかを探る。作品鑑賞の手引きとしてクイズの書かれたカードが用意されている。
ときに優しく、恐ろしく、不思議な水。興味の尽きないテーマである。
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会場:国立西洋美術館 東京都台東区上野公園7-7
会期:2001年9月4日〜11月4日
問い合わせ:Tel. 03-5777-8600

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exhibitionセゾンアートプログラム・アートイング東京2001
−生きられた空間・時間・身体−

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 作家の多数が70年代生まれという若々しさも楽しみである。9月15日(土)は11:00から23:00まで、参加作家を招いて12時間連続リレー・トークが行われる(ゲストの林道郎氏は12時間ずっといるのだろうか?! )。一方、関連企画の対談は<「芸術」を語ることはそもそも可能なのかという根元的な問い>をテーマにかかげ、少々小難しそうな議論が展開されるらしい。フレッシュな企画なだけにこの「お堅さ」が私としては残念に感じる。
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会場:旧新宿区立牛込原町小学校 東京都新宿区原町2-43
会期:2001年9月15日〜10月5日
問い合わせ:Tel. 03-5464-0197(セゾンアートプログラム・センター)

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report学芸員レポート [三鷹市芸術文化センター]

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 来年3月に銭湯のペンキ絵の展覧会を予定している。風呂なしの家が珍しくなった今、銭湯は年々なくなる一方である。ペンキ絵を描く現役の絵師も、現在東京には3 人しかいない。その1人である中島盛夫さんに先日お会いした。
 かつて人の集まる銭湯は、宣伝効果の高い場所であった。壁に文字を入れるスポンサーからの広告料によってペンキ絵制作が賄われていたそうだ。中島さんの仕事も多く、1日2軒の銭湯に絵を描くこともあったという。銭湯が開くまでの数時間に男湯と女湯の絵を両方描きあげてしまう。スピードが要求される仕事である。
 銭湯の需要が減った今、ペンキ絵を描く場所にも変化が訪れている。最近中島さんは、病院や老人施設、お店のシャッター、建築現場、そして個人の内風呂などに絵を描いたそうだ。なるほど、銭湯を懐かしむ人たちからの新たなニーズが生まれているのだろう。
 しかし、今後の取材の参考のためにそれらの場所を尋ねても、中島さんからは具体的な住所が出てこない。「確か筑波だった」とか、「江戸川のどこかだった」など、記憶が曖昧なのだ。中島さんには描き終えた絵への執着が全くないらしい。そもそも銭湯のペンキ絵は一定期間を経て描き替えられていくはかない存在だ。自分の力作を自ら塗りつぶすことに抵抗はないのかと聞くと、描くたびに常に反省点が出てくるので、早く描き替えてしまいたいという気持ちの方が強いのだという。また、今後描いてみたい富士山以外の魅力的なモチーフを尋ねると、きっぱり「ない」という返事。
 「やっぱり富士山はいいね。」
 そんな彼の言葉の中には、名前を残したい、作品を末永く保存して世に知らしめたい、オリジナル性を追求したいと願ういわゆる「アーティスト」とは全く異なるベクトルが存在する。良い絵を描きたいという気持ち以外のあらゆる執着から解放された職人の姿勢に、何ともいえない潔さを感じた。
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