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なぜ、この5人なのか。チラシによると、「人間の生存、つまり生と死、そして死からの再生といったテーマをめぐって自己の世界を展開する」作家なのだという。舟越桂以外は分からないではないが、舟越を加えた理由は担当学芸員によると、感情移入しやすい彼の作品を展覧会の最初と最後に配置することで、展覧会を見る前と見た後の自分の内の変化に気付いてもらおうという狙いがあるらしい。確かに、入口で1点の舟越作品が観客を出迎え、最後のコーナーを舟越作品で締めている。しかし、それはちよっとわかりづらかったかも。
奇しくもアメリカの同時多発テロ事件により不条理な死の問題がこれまでにないほど切実なものとして浮上してきた時代となってしまった。企画段階では思ってもいなかったことだろうが、あまりにタイムリーすぎる展覧会テーマである。以前から生と死の問題をアートによって訴えかけてきた作家たちの深い精神性をたたえた作品には、こうした時代になってしまったが故に胸が痛くなるほど圧倒されてしまう。