今年は文化財保護法が制定されて50年。この展覧会も「写真で旅する世界文化遺産」みたいな、ありがちな国宝写真展の類かと思ったら、とんでもない。明治初期の文化財調査のための写真から、商品や報道としての古美術写真、アートとしての写真まで、歴史を追ってたどっている。国宝はこれらの写真のサブジェクトではあっても、この展覧会のサブジェクトではない。では真のサブジェクトはなにかというと、やっぱり「写真」なのだ。さすが写真美術館。 [12月23日〈土〉 村田真]