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ArtDiary ||| 村田 真のアート日記
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6月1日(月)

森村泰昌著『踏みはずす美術史』が贈られてきたので、クソ忙しいけど一気に読む。最後の第5章「似ていることはいいことだ」には共感。最近の森村氏はサービス精神の過剰がやや鼻につくけど、基本的に彼はマジメで正直な人ですね。

6月3日(水)

東銀座の日産本社講堂にて、ドキュメント2000プロジェクトの97年度報告会。「社会とアートの橋渡し」をテーマに、企業のメセナ担当者や美術館学芸員が集まって、アウトリーチ支援と研究を行っているNPOだ。ぼくも実行委員会の末席に名を連ねているのだが、月1回のミーティングには遅刻するわ欠席するわの落ちこぼれ状態。そんなわけで今日は第2部の司会をやらされるハメになった。
 地味な催しのわりに、大阪、神戸、福岡からも聞きに来てくれた人もいて、司会はともかく会は盛況。

6月8日(月)

ああびっくりした。パソコンに向かってたら、いきなりアゲハチョウが目の前を横切るんだもん。すっかり忘れてたアゲハの観察日記。2週間ほど前に、2匹の幼虫をベランダのゴムの木と室内の箱に分けてサナギにしたのだが、箱のヤツがいつのまにか羽化したのだ。わざわざ箱までつくって羽化の瞬間を観察しようとしてたのに、うっかりしてた。

アゲハの羽化
http://www.crdc.gifu-u.ac.jp/mmdb/ageha/uka/index.html
6月11日(木)

朝見たら、ゴムの木のサナギもすでにもぬけの殻。昨日から羽が透けて黒ずんでいたのに、また羽化の瞬間を見逃してしまった。

6月13日(土)

朝、福岡へ。今日と明日、イムズという商業ビルで9月に行われる「九州コンテンポラリーアートの冒険」と題する公募展の審査があるのだ。審査員は、ミュージアム・シティの山野真吾とアーティストの藤浩志ぼくの3人を中心に、イムズ関係者を加えた計8人。今年の応募総数は96件、その中から、作品プランと過去の作品資料を参考に10件あまりを選ばなくてはならない。
 公募展に限らず、美大の入試でも画廊の展覧会でもそうなのだが、合格点を与えられる作品というのは10に1つくらいだ。そういう意味で約100件から10件を選ぶこの公募展は理にかなってる。だって、はっきりいうけど応募の大半は思いつきの工作か、自己陶酔のイラスト程度なんだもん。でもオヤジな言い方をすれば、近頃の若い人がアートをどのように捉えているのかがわかっただけでもよかった。
 全員で荒選びしたところで、「月の庵」に場所を移して審査の続き、つうかなんつうか。例によって山野宅におじゃま。

6月14日(日)

午前中から昨日の続き。4時頃までに13件を選び終えて、福岡県立美術館の「ブリーフターン」という展覧会を見に行く。出品者のほとんどは「九州コンテンポラリーアートの冒険」に出したことのある若手作家だが、玉石混淆って感じ。
 9時発東京行きの最終便まで時間があるので、山野氏、藤氏と飲む。飲み屋も飛行機も人が少ないと思ったら、9時半からワールドカップ日本×アルゼンチン戦があるのだ。機内放送で前半だけ聞く。まわりを見ると、なんと全員聞いてる。

6月17日(水)

日本橋三越の「平山郁夫画業五十年展」を見る。高い画材使ってるわりに絵はがき程度の効果しか表れてない。平山さんはとてもマジメで熱心な人だと思うけど、いかんせん画才がない。これ見ると日本画ってチョロい世界だと思う。スカイドアの城戸真亜子は前より上手になったけど(前はヒドかった)、まだ人に見せる段階じゃない。ミヅマアートギャラリー山口晃はブッチギレてる。平山サンも城戸サンも、山口クンにもう一度デッサンを習うべきだ。

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