大阪では、昨年は現代美術を扱う画廊の廃業や、老舗画廊が事務所だけを残し、作品のディーリング業務を中心に行なっていくような体制に経営規模の縮小をはかるような動きが出てくるなど、浮かない話題が多かった。貸画廊を訪れる人の客足も一時期と比較すると減少気味だと聞く。若いアーティストたちの間では、画廊での個展といった形式にとらわれない、というよりは、そういうことに興味を持たない、とはっきりと言い切ってしまう人たちの声が耳に入ってくる。 そんななかで、「〜アートで歩く京のまち〜KYOTO ART MAP」という事業が、5月19日から31日に行なわれる。京都市内の22軒のギャラリーが参加して〈KYOTO ART MAP実行委員会〉を発足させたのは、昨年秋だった。現代美術が人や町と交流し、町の暮らしがよりいっそう豊かになることを目指して、現代美術やその発表の場であるギャラリーの存在の社会的意義を再考していこう、と高い志のもとに集まった。現代美術を軸とするネットワークの拡がりのなかでの、京都の新しい出来事や出合いを「地図」に書き加えようとKYOTO ART MAPを作成する。と同時に、参加画廊が関連の企画展を一斉に開催することになっている。地図のほかにも、各展覧会・作家紹介の資料シートや資料の保管用ファイルの製作、記念Tシャツなどのノベルティー・グッズの製作と販売も計画している。期間中の5月23日には、リレートークも企画されている。 関西ではこれまでにも、有志の画廊が集まって「画廊の視点」という企画(展覧会・レクチャー・シンポジウム他)を行なってきたりもしたが、このように京都の画廊が協力して足並みをそろえて、全体で何かを行なうということは過去にはなかった。これも、やはり危機感の表われとみて良いと思うが、ポジティヴな参加者たちの姿勢に声援を送りたいと思う。
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