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ヴェネツィア・ビエンナーレ |
名古屋 覚 |
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47回目を迎えたヴェネツィア・ビエンナーレ。欧米の“列強諸国”と並んで自前のパビリオン(展示館)を持つ日本は、内藤礼1人の参加。館内に張られたテントの入口から、その内部に置かれた細かなオブジェを眺めるという作品だ(内藤のヴェネツィア滞在中はテントの中まで入れるという)。ただし館内に入れるのは1人ずつ、3分間だけ。コミッショナーの南條史生によれば、「平均鑑賞時間2秒」ともいわれる最近の国際展の実状への批判でもあるそうだ。ところが、世界中から集まった美術関係者やファンでごった返した一般公開直後、日本館前には長蛇の列が出来、開場時間内に作品を見られず不平をこぼす批評家らも現れた。それでもルールを曲げなかったのは立派といえなくもないが、鑑賞されてこその“美術作品”だ。見てもらえなかった人々に対しては、日本の展示はいわば“不戦敗”を喫したのである。芸術的には相当、質の高い作品なのだが、内向的で発言力に乏しい“日本”を象徴するような展示風景であった。もっとも、会場も閑散とする今ごろの時期なら、簡単に入館できることだろう。 |
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今回のビエンナーレの特徴は、一言でいえばハイライトに欠けること。来年に延ばして開催する予定だったともいわれるビエンナーレを、今年実施することが決定されたのが昨年暮れだったという事情によるのだろうか、数々の大物アーティストが力作を引っ提げて参加した前回や前々回に比べて、パビリオンの展示は物足りないものがあった。あえて挙げるなら、イギリス館のレイチェル・ホワイトリードの物静かな彫刻、ロシア館のマクシム・カントールの独特な表現主義的絵画が印象に残った(詳しくは、後に続く村田真氏との対談をお読み下さい)。 |
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各国の展示のほかに、ビエンナーレの総合キュレーターのジェルマーノ・チェラントが企画した「未来 現在 過去」展が、イタリア館および以前「アペルト」展会場だった場所で開かれている。1960年代後半から現在までの美術の動向を概観するものだが、この間に活躍しためぼしいアーティストの作品を羅列した以上の意味は見出せない。 |
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一方、ヴェネツィア市内の別の会場で催されている「ミニマリア」展は、前々回のビエンナーレの総合キュレーター、アキーレ・ボニート・オリーヴァがチェラントに対抗するかのように企画したもので、未来派からトランスアヴァングァルディアに至る今世紀のイタリア美術の流れを粒よりの作品で俯瞰するこの展覧会のほうに、より充実感があった。 |
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ビエンナーレという“お祭り”に欠かせないのが賞だが、今回は開会前から地元ヴェネツィア出身のエミリオ・ヴェドヴァと、カナダ生まれのアグネス・マーティンの2人の巨匠の「金獅子賞」受賞が決まっていて、開会式での受賞者発表は盛り上がりを欠いた。ほかに、「国際賞」にマリーナ・アブラモヴィッチとゲアハルト・リヒター、パビリオンでの国別展示を対象とした賞はフランス(ファブリス・イベールがフランス館を“テレビ局”に仕立てた)、「優秀賞」は北欧館の展示とチェラントの企画展の両方に参加した森万里子らに与えられた。(文中敬称略) |
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会期 :1997年6月16日〜11月9日 |
開催地:イタリア、ヴェネツィア |
メイン会場:市内の国別パヴィリオンおよびその周辺 |
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問い合わせ:Tel: 0039(41)5218800 Fax: 0039(41)5218837 |
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ホームページ :http://www.labiennale.it/ |
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