キュレーターズノート
「札幌国際芸術祭」/「ヨコハマトリエンナーレ2014」/「福岡アジア美術トリエンナーレ2014」/「更紗の時代」/「成田亨──美術/特撮/怪獣」
山口洋三(福岡市美術館)
2014年11月15日号
学芸員レポート
11月24日まで福岡市美術館で開催中の「更紗の時代」は、一見「更紗」という「もの」の変遷(模様とか素材、製法とか)を追う展覧会か思いきや、じつはインド発祥の更紗が長い時間をかけて欧州、日本、そしてアフリカにまで伝播し、それが現代にまでつながっているという壮大なスケールを持っている。「もの」をめぐる人間の欲望を映し出した奥の深い展覧会に仕上がっている。布物は展示が難しそうだが、かなり工夫を凝らしているので、布フェチだけでなく近現代美術ファン、茶道具ファンも食わず嫌いすると損をする展覧会である。
これに続くかたちで、新年早々より開幕する「成田亨──美術/特撮/怪獣」の福岡展準備が佳境に入りつつある。ポスター・チラシの制作では、そのデザインに、direction Qの大西隆介氏を起用。彼は、好評につき版を重ねた『成田亨作品集』(羽鳥書店、2014)のブックデザインも手がけたので、成田作品を知り尽くしているといっていい。A4版チラシは全部で8種類! 福岡市美術館のFacebookでそのうち6枚を公開したがなんだかすごい反応。文字部分にニスがのり、光沢で展覧会題名が浮き上がる印刷になっている。B2ポスターも基本的にチラシと同様の仕様(ただし1種類)。前売り券はすでにコンビニなどで販売している。お得な価格設定としているので、観覧予定の人はぜひご購入をお願いします。全6種類あるチケット、割引券の券面の画像もすべてちがえている。マニアの方、いやそうでない人も、がんばって集めてください!(電子チケットでの発券でも、当館で引き換えますよ!)
関連事業として、成田流里・カイリ両氏による講演のほか、美術批評家の椹木野衣氏、アーティストの村上隆氏の講演会も予定。ウルトラ、サブカルチャーに疎い美術ファンも楽しめる内容となる展覧会であることは間違いなし。会期があまり長くないので、遠方より来られる方、日程や休館日に十分注意してご来福ください!
最後にもうひとつ、成田福岡展では、マニア筋の方には驚きの特別作品がある。不思議博物館館長にして、美術界屈指のオタクアーティスト・角孝政氏を起用し、「あるもの」を制作依頼しました。こちらも乞うご期待!!