キュレーターズノート

田口和奈「半分グレーでできている」/エイミー・ベネット「ヴァケーションランド」/サイレント展

角奈緒子(広島市現代美術館)

2009年12月15日号

学芸員レポート

 広島市現代美術館では、特別展、コレクション展のほかに、昨年度よりスタートさせたスクリーニングプログラムやワークショップ、小規模の展覧会なども開催している。
 11月からは、オランダのインディペンデント・キュレーター、タニヤ・エルストギーストと当館学芸チームの協同により実現させた「サイレント」展を開催中である。通常、聴覚によって認識される「無音」の状態を、アーティストたちはいかに視覚的に表現しているのか、これが本展のテーマ。「サイレント」の定義について議論を重ねていくうちに、「単に音がない状態」という感覚の問題だけでなく、「サイレント(無言)であることを強いられる状況」といった政治的文脈での解釈など、「サイレント」を広義の意味でとらえることにより、バラエティに富んだ作家/作品の選定が可能となった。オープニングには、日本で初めての紹介となるオランダの作家ヨハン・ファン・トルの紙を使ったパフォーマンス、氷のレコードを演奏する八木良太のデモンストレーションを行ない、会場は多くの観客(聴衆)でにぎわった。この展覧会は年明け1月11日まで開催しているので、ぜひご覧いただきたい。


「サイレント」展示風景


ヨハン・ファン・トル 《ペーパー・アンサンブル》 2009
ともに撮影=花田憲一、courtesy=広島市現代美術館

サイレント展

会場:広島市現代美術館(地下1階ミュージアムスタジオ)
広島市南区比治山公園1-1/TEL. 082-264-1121
会期:2009年11月3日(火・祝)〜2010年1月11日(月・祝)

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