キュレーターズノート
ネットワークをカタチに──秋冬・青森のアートシーン:「ラブラブショー」&「文化芸術による創造のまちあおもりプロジェクト」
日沼禎子(国際芸術センター青森)
2010年01月15日号
学芸員レポート
新たなアートセンター〈MAC〉オープン
さて、地域の話題をもうひとつ。昨年、2009年12月、青森市に新しいアートセンターがオープンした。プロジェクトスペースMidori Art Center(MAC)。市の中心市街地、古川の旅館の一角を使い、ゆるやかにまちと繋がり、生活と近い場所で、アーティストや地域の人々と楽しみながらプロジェクトを推進していく目的で設立された。オープン時間も厳密には確定せず、プロジェクトがある期間や、アーティストや主宰者が対応できるときにシャッターを開けるという気楽さ。いわゆる展示のためだけのギャラリーとは一味違った、個人レベルでありながらパブリックスペースでもあるというスタンスで運営される。
第一弾のプロジェクトは、狩野哲郎による滞在制作展「自然の設計」。狩野は展示空間、あるいは屋外の空間に植物の種子を蒔き、その成長を見守るインスタレーション《発芽−雑草 / Weeds》などを発表している。この度の滞在制作では、さらに一羽のチャボを空間に放ち、生き物が空間に介在することによる変化を見守りながら、ともに空間を生成していくプロジェクトを展開。また、MACのほか、近在のフリースペース「空間実験室」にて、アネックス展示を行なった。わらしべ長者ではないが、地域に滞在しながら、そことの出会い、繋がりによって、展示やレクチャーを発展的に展開していくかたちは、等身大の活動として非常に親和性がある。これからの活動にも、ぜひ注目していきたい。