2019年11月15日号
次回12月2日更新予定

キュレーターズノート

広島現代芸術プロジェクト2010 ひろしまみなみのアート展/HEAVEN 都築響一と巡る社会の窓からみたニッポンほか

角奈緒子(広島市現代美術館)

2010年06月15日号

 話は変わり、突然なのだが、みなさんの思う「にっぽん/日本/ニッポン」とはどんな姿だろうか。主張することとしとやかさの意味をはき違え、意見することの苦手な人々が群れをなして暮らす場所? 年中行事のように総理大臣が替わり、景気回復どころか迷走を続ける哀れな先進国? マンガ界を牽引し、世界中のオタクたちを魅了するファンタジー・ワールド? われわれ日本人が胸を張って、または少し恥ずかしながらも紹介するのとは異なる日本の側面──見向きもされないどころか疎まれ、時には隠蔽され、そして忘れ去られようとしている──を拾い上げ、公の面前に晒すべく書籍というかたちで発表し続けてきた編集者・写真家、都築響一の個展「HEAVEN 都築響一と巡る社会の窓からみたニッポン」が、広島市現代美術館で開催中である。書籍では、ページをめくることによって次々と現われる驚くべきスポット、部屋、奇人が、三次元の展示空間に解き放たれ、大判プリントによって大きさという迫力までも獲得し、目眩くワールド、不思議ニッポンを構成している。そこから垣間見える日本の姿を、思わず否定したい気持ちにもなるものの、わたしがその「日本」を否定したところで、無知なだけだと嘲笑されるだけで、事実、まぎれもない日本文化の痕跡と神髄が見事に曝け出されている。
 世間から疎まれるもの/人、世の中から姿を消そうとしているもの/こと、いまとは異なり、あらゆる飢えに由来する渇望によって発揮された爆発的なパワーが担っていた古き良き時代のニッポンの文化に対する都築の眼差しはきわめて優しく、かつしたたかである。不気味、恥ずかしいという理由で打ち捨てられてきた名もなき人々のイマジネーションの賜物は、都築という一編集者を介して芸術作品の殿堂である美術館で恭しく展示されるに至った。これらの創造物をアートたらしめているものは一体なんなのか、ひいてはアートとは一体なんなのか、都築の言葉とともに実際に作品を見て、考えてみてもらいたい。


広島市現代美術館、展示風景

広島現代芸術プロジェクト2010 ひろしまみなみのアート展

会場:広島市南区民文化センター
広島市南区比治山本町16-27(広島産業文化センター2階・3階)/Tel. 082-251-4120
会期:2010年6月1日(火)〜13日(日)

HEAVEN 都築響一と巡る社会の窓からみたニッポン

会場:広島市現代美術館
広島市南区比治山公園1-1/Tel. 082-264-1121
会期 2010 年5月22日(土) 〜7月19日(月・祝)
*都築響一による展覧会解説ブログ・サイト

学芸員レポート

 企画公募、今年もやります。
 ゲンビの無料パブリックゾーンを使って、サイトスペシフィックな作品を展示・発表してみませんか。絵画、立体、映像、インスタレーション、パフォーマンスなど、作品メディアは不問、作品展示プランを募集します。発表したい作品展示プランの応募が、6月1日より開始となりました! 今年は特別審査員に、都築響一氏、森村泰昌氏、二階堂和美氏の豪華アーティスト3名をお迎えいたします。当館ウェブサイトより応募要項をご確認のうえ、どしどしご応募ください。応募締め切りは7月26日(必着)、審査員たちを唸らせるステキなプランをお待ちしています。

ゲンビどこでも企画公募2010(広島市現代美術館)

募集期間:2010年6月1日(火)〜7月26日(月)必着
[展覧会]
会場:広島市現代美術館
広島市南区比治山公園1-1/Tel. 082-264-1121
会期:2010年9月18日(土)〜10月11日(月・祝)

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