展示の現場
展示空間を美しく効果的に照らす
独立後、岡安は、建築家との協働で照明デザインも行なっている。「地下展」では、トラフ建築設計事務所が手がけた、約6,500個の発泡スチロールブロックを積層した会場空間を照らした。
2008年には、伊東豊雄が台北市立美術館で行なった個展「Generative
Order」に携わる。鑑賞者が靴を脱いで歩き、寝転がって映像を見てもいい、波打つような床。この空間を美しく見せるために、床と壁とに微妙な陰影を付け、丘の曲線の影をシャープに出す照明を手がけた。「映像のリフレクションと混ざらないようにすることも課題でした。映像は、白系になった瞬間に、照明器具のように空間を明るくしてしまいます。この場合はそれを回避した例ですが、今後、プロジェクターを照明器具として利用する表現が出てきても面白いんじゃないでしょうか」。
また、ホックニー、リキテンスタインらが車体にペイントしたBMWコレクションを展示した「透明なスピード〜BMWアート・カー〜」展では、会場構成を青木淳が担当。地上53階という場所に合わせて、約1万本の透明なパイプを雲の形に吊るし、乱反射した光の筋がパイプの合間を約2秒で駆け抜けるという照明を手がけた。青木のアイデアから、プログラミングではなく、距離と光の速度の物理的関係を利用して設計した。