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展示の現場

最適な照明、光をつくり出す:岡安泉

白坂由里2009年01月15日号

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展示空間を美しく効果的に照らす

 独立後、岡安は、建築家との協働で照明デザインも行なっている。「地下展」では、トラフ建築設計事務所が手がけた、約6,500個の発泡スチロールブロックを積層した会場空間を照らした。
 2008年には、伊東豊雄が台北市立美術館で行なった個展「Generative Order」に携わる。鑑賞者が靴を脱いで歩き、寝転がって映像を見てもいい、波打つような床。この空間を美しく見せるために、床と壁とに微妙な陰影を付け、丘の曲線の影をシャープに出す照明を手がけた。「映像のリフレクションと混ざらないようにすることも課題でした。映像は、白系になった瞬間に、照明器具のように空間を明るくしてしまいます。この場合はそれを回避した例ですが、今後、プロジェクターを照明器具として利用する表現が出てきても面白いんじゃないでしょうか」。
 また、ホックニー、リキテンスタインらが車体にペイントしたBMWコレクションを展示した「透明なスピード〜BMWアート・カー〜」展では、会場構成を青木淳が担当。地上53階という場所に合わせて、約1万本の透明なパイプを雲の形に吊るし、乱反射した光の筋がパイプの合間を約2秒で駆け抜けるという照明を手がけた。青木のアイデアから、プログラミングではなく、距離と光の速度の物理的関係を利用して設計した。

6.jpg地下展(2007年9月22日〜2008年1月28日、日本科学未来館)「生命の樹」を照らす。金属パイプで支えて吊るしたファブリックを、床に仕込んだ円形に曲げた蛍光灯と、電球型蛍光灯のスポットライトで照らし、闇の中にふわっと浮き上がるように見せた。

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伊東豊雄展「Generative Order」(2008年3月8日〜5月25日、台北市立美術館)。
傾斜のある丘のような長方形の空間。単一光源から床全体に光が回るようにスポットライトを吊る。その際、壁のプロジェクターに影響しないよう、照射面積を床の大きさで切る。プロジェクターのリフレクションで斜面のエッジがぼけないように、プロジェクターよりは強い光量に定めた。

07-BMW-artcar04.jpg「透明なスピード〜BMWアート・カー〜」(2008年4月11日〜6月8日、森アーツセンターギャラリー)空間設計:青木淳建築計画事務所。1万本のポリカーブ製の筒を吊るした空間の隅に、3台の光源と正十面体の反射鏡を設置、正十面体反射鏡が回転、反射光が筒の合間を秒速で移動する。

 

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白坂由里

『ぴあ』編集部を経て、アートライター。『美術手帖』『マリソル』『SPUR』などに執筆。共著に『別冊太陽 ディック・ブルーナ』(平凡社、201...

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