会期:2025/04/18~2025/09/23
会場:TOKYO NODE[東京都]
公式サイト:https://exhibition-ah-neo.jp
NHK Eテレの番組「デザインあneo」は、「デザインあ」からスタートして、一度リニューアルを挟みながらも本放送開始から14年近くが経つ。この年月は、当時、番組を見ていた子どもたちが成人を迎えるのに十分な長さである。果たして、この番組は日本のデザイン教育の一歩になり得たのだろうか、なんてことをたまに思う。ただ現在もその内容は色褪せることなく、高い人気を誇る娯楽番組であることは確かなようだ。番組から派生した展覧会の方も好評で、それを裏付けるかのように、3期目を数える本展がなんと5カ月以上に及ぶ最長会期で行なわれている。
展示風景 TOKYO NODE
今回のテーマは、人の日常的な行為に着目した「動詞」。「どうして動詞?」という疑問にも、総合ディレクターの佐藤卓はちゃんと答える。曰く、朝起きてから夜寝るまで、日常生活は動詞の連続で成り立っている。そしてそこには必ず何らかのデザインが関係している等々と。例えば人と“座る”行為をつなぐのが椅子のデザインであるというように──誰が? どこで? どのように? を考える手掛かりとなる──人と行為(動詞)の間にあるのがモノのデザインという視点で、デザインへの示唆をうながす。会場ではいろいろな動詞を切り口に、さまざまなアプローチで日常生活に潜むデザインの存在をあぶり出しつつも、そこは「デザインあneo」ならではというべきか、驚きと楽しさに満ちた体験に重きをおいた展示となっていた。
意外と難しい、縞々の間隔を見て本物を当てるクイズ「横断歩道はどれ?」や、偉い人の気分を味わえる、見たこともない巨大なサイズの「えらそうなイス」、アイロニカルなメッセージが込められた、重力に逆らってゴミを捨てる体験装置「るてす」など、大人の心にも響く展示が結構あった。その狙いとは、普段、我々が何気なく行なっている行為(動詞)を大げさなほど拡大解釈したり、見える化したりすることで、これまで気づいていなかったモノや仕組みのデザインの妙を再確認させることにあるのだろう。したがってここは童心に帰ってワーワーキャーキャーと純粋に楽しむことが、正しい鑑賞の仕方といえるのかもしれない。
展示風景 TOKYO NODE
展示風景 TOKYO NODE
展示風景 TOKYO NODE
鑑賞日:2025/04/17(木)
関連レビュー
企画展「デザインあ展 in TOKYO」|杉江あこ:artscapeレビュー(2018年09月01日号)