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トップページやメニューから「30周年記念企画」の目次ページへリンクしているので、すでにご存知かもしれませんが、1995年のartscape開設から30年が経ちました。この大きな節目を記念して、2025年7月から翌年3月まで、アートシーンの「今」と「これから」を多角的に掘り下げる特別企画をお届けしています。

今回の企画は、大きく分けて4つの連載シリーズで構成されています。まずは、企画の幕開けを飾る座談会「artscapeの30年とこれから」。特別編集委員の星野太さん、きりとりめでるさん、野見山桜さんという心強いお三方をお迎えし、それぞれの専門領域から媒体の過去と未来を語り合っていただきました。次に、本稿で詳しくご紹介する「特別編集委員による現代アート&デザイン・トピックス」。そして、膨大な過去記事を新たな視点で読み解く「30年間のアーカイブを読み解く」シリーズや、artscapeにゆかりのある方々が思い出の記事を綴るエッセイシリーズ「それぞれのバックナンバー」と続きます。

さて、今回はその中から「特別編集委員による現代アート&デザイン・トピックス」についてご紹介します。この連載は、座談会での議論を起点として、各編集委員が今もっとも注目しているテーマを取材や寄稿で深掘りしていくものです。委員自らが企画を立て、記事の冒頭では企画意図を綴ったリード文も執筆してくださっています。

すでに公開されている2本の記事は、いずれも「地域」と「アート/デザイン」の関わりを考えるうえで、示唆に富む内容です。

ひとつ目は、星野太さんが企画と聞き手を務められた、NPO法人金沢アートグミ・上田陽子さんへのインタビューです。2004年に開館した金沢21世紀美術館という巨大な存在の誕生をきっかけに、「自分たちの地域の美術は、自分たちでやるしかない」という思いから生まれたアートグミ。その活動は、アーティストのための確定申告講座から、運動会形式のアートイベント「原っぱ運動会」まで、じつにユニークです。展覧会という枠組みにとらわれず、いかにしてアートの土壌を耕し、人と人をつなぐか。その真摯な実践が、上田さんの言葉からひしひしと伝わってきます。

もうひとつは、野見山桜さんの企画で、香川県高松市を拠点に活動する中條亜希子さんにご寄稿いただきました。中條さんは自らを「ローカルデザインアーキビスト」と名乗り、地域のデザイン史を掘り起こしています。この記事では、かつて「政治とはデザインなり」と語った知事の存在や、「讃岐民具連」というデザイン運動など、香川が「デザイン県」と呼ばれるに至った歴史的背景が、中條さん自身の発見の軌跡とともに生き生きと描かれています。

このほかにも、きりとりさんが主催する座談会の収録や、野見山さんと共に地方都市へ足を運ぶなど、編集部は毎月のように取材で各地を飛び回っています。年度末まで、まだまだ興味深い記事の公開が続きますので、どうぞお楽しみに。(o)