会期:2026/08/15~2026/10/12
会場:根津美術館[東京都]
公式サイト:https://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibitions/current/

日本の陶磁器は、中国、朝鮮半島から多大なる影響を受けて発展してきた。こと磁器に至っては、朝鮮陶工の尽力によって誕生した経緯があり、大陸とは切っても切り離せない関係にある。とはいえ、東アジア一帯の中国、朝鮮半島、日本で生まれた陶磁器を「東洋陶磁」と一括りにして語るには大雑把過ぎるところがあり、互いに有機的なつながりを持ちながらも、それぞれの土地に根ざした個性が育まれてきたと解釈するのが良いのである。そうした陶磁史の大きな流れを捉えるのに、本展はまさにうってつけだった。


重要文化財 五彩宝相華文瓶 景徳鎮窯 中国・明時代 16世紀 根津美術館蔵

根津美術館1階の展示室1で中国、展示室2で日本、そして2階に上がり、展示室5で朝鮮半島のやきものが展示されていたのだが、同館が所蔵する2300件に及ぶやきものの中から名品を選りすぐったというだけあり、作品数は絞られていたものの、かなり凝縮された内容となっていた。つまり中国、朝鮮半島、日本に点在していた窯の歴史や風土、特徴などをかいつまんで捉えられる構成となっていたのだ。例えば中国では紀元前のやきものの創成期に始まり、唐時代、北宋時代、南宋時代と時代を追って青磁などのやきものが紹介されており、近世からはいよいよ景徳鎮窯が登場する。青花(染付)や絢爛豪華な五彩(赤や緑、金彩などの上絵具で絵付けした表現手法)など、中国陶磁らしい作品に目を奪われる。そして日本では備前や信楽といった六古窯、美濃をはじめとする桃山陶、野々村仁清や尾形乾山らによる華麗な京焼などが紹介され、さらに江戸時代に肥前で盛んに作られた染付磁器や色絵磁器が続く。朝鮮半島では高麗時代と朝鮮時代に分かれ、青磁や白磁、また清楚な青花や白土を使った象嵌などが紹介されていた。


重要文化財 銹絵染付金彩絵替土器皿 京都 尾形乾山作 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵

このように一望すると、青磁ひとつ取ってみても、時代や窯によって水色から青、緑、褐色とずいぶん色合いや質感が異なり、その解釈の幅広さに驚く。白磁すら真っ白というのは少なく、青みがかっていたり黄みがかっていたりするのである。現代のように方々から材料を調達していたわけでなく、かつてはその土地で採れる土だけで作られていたのだから、当然といえば当然なのだ。本展を通して、東洋陶磁の奥深さと豊かさを改めて知ることができるだろう。


色絵三果文稜花皿 肥前 日本・江戸時代 17~18世紀 根津美術館蔵 山本正之氏寄贈


粉青象嵌牡丹文厨子 朝鮮半島・朝鮮時代 15世紀 根津美術館蔵

鑑賞日:2026/08/29(土)