京都を拠点に活動する林智子は、芸術系大学で染織を学んだ後、ロンドンで先端的なテクノロジーを使った、人と人との間に生じる感覚やコミュニケーションをテーマにした作品を制作してきました。アイルランドやスコットランドでの滞在を経て京都に戻った林は、豊かな自然と歴史に触れ、内なる自然と外にある自然とのつながりに意識を向けるようになりました。
本展のタイトル「泥の詩」は、イタリアの詩人ジャコモ・レオパルディの言葉からきています。細かな粒子の夥しい集合が水気によって結びつけられた泥は、特定の形をもつことはありません。それは一方では濁りや汚れと見なされるものであり、他方では生命を育む土壌でもあります。
世界は泥である。林は本展で、世界を個と全体が有機的に結びつき、生命を循環させる運動と捉え、その中での私たちの生の在り方を考察します。私たちの内/外の自然はどのように共鳴しているのか、そして社会的な秩序によって隠されている「形なきものの形」や「声なきものの声」に再び関係を取り結ぶことで、言語以前の感性を呼び覚ます試みが展開されます。
林智子(はやし・ともこ)
1980年生まれ。幼少期を過ごしたアメリカの広大な砂漠地帯や、二十代を過ごした湖沼や山脈の広がるスコットランドやカナダの大自然、そしてそれらとは対象的な混沌とした大都市での生活を経験していくなかで、人と人とのつながりや関係性について興味を持ち始め、五感を刺激する様々な方法で「現代人の親密さと交感」をテーマにした作品を模索し始める。その後もさまざまな国で分野を超えたコラボレーションを行ない、現在は京都を拠点に、華厳思想と豊かな自然環境に触発され、「森羅万象の関係性」をテーマに、アートとサイエンスを横断する作品を制作している。
https://www.tomokohayashi.com/
関連プログラム
アーティストトーク
本展出品作家の林智子が、展覧会会場を回りながら、自作についてお話します。
日時|2024年3月30日(土)14:00〜15:00(予定)
会場|京都芸術センター ギャラリー南
出演|林智子
聞き手|安河内宏法(本展企画、京都芸術センタープログラムディレクター)
参加費|参加無料 (要事前申込)
申込締切|3月29日(金)
*詳細・参加申込はこちらをご覧ください。
会期:2024年3月30日(土)〜6/9(日)
*会期中、設備メンテナンスに伴い、臨時休館日を設ける予定です。臨時休館日についてはこちらでご確認ください。
会場:京都芸術センター(京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2)
入場料:無料
開館時間:10:00〜20:00
主催:京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)
公式サイト:https://www.kac.or.jp/events/35151/