マツモト建築芸術祭 2024 ANNEX

会期:2024/02/23〜2024/03/24
会場:旧松本市立博物館(メイン会場)/松本市立博物館信毎メディアガーデン[長野県]
公式サイト:https://maaf.jp/

「須藤康花 ─光と闇の記憶─」

会期:2023/12/09~2024/03/24
会場:松本市美術館[長野県]
公式サイト:https://matsumoto-artmuse.jp/exhibition/special/39782

2022年から始まり、第3回を迎えたマツモト建築芸術祭を初めて訪れた。建築とアートを絡めるという企画は興味深い。個別のアート作品も興味深いものだった。例えば、キービジュアルにも使われたカンデダ・ヘーファーの大きな建築写真、階段まわりに垂直方向に展開するインスタレーションを制作した鬼頭健吾、暗闇で光シャンデリアを通じて各国の原発が生み出す電力量を表現する米谷健+ジュリア、磯谷博史、メカニックな地下室にヴィデオ・フィードバックする映像を持ち込む河合政之らである。ただし、なぜこういう組み合わせになったのかというキュレーションの意図がやや不明であり、解説に執筆者名が記されていないことが気になった。今回は解体予定の旧博物館をメイン会場としているが、効果的にアート作品を散りばめるだけでなく、もっとこの建築に対する詳しい説明が欲しい。また別会場になった新博物館では、エントランスの大階段の空間でショートフィルムが上映され、場所は良いのだが、さすがに肝心の画面が小さすぎる。

伊東豊雄による《信毎メディアガーデン》も別会場として使われた

「マツモト建築芸術祭 2024 ANNEX」展示風景 磯谷博史の作品、奥に村松英俊の作品、宇佐美雅浩の作品

旧博物館のすぐ近くにある雪景色の松本城を久しぶりに見学した。ほとんどの来場者が海外からの観光客である。松本市美術館も草間彌生の人気ゆえか、外国人が多い。開催中の企画展「須藤康花 ─光と闇の記憶─」は、早くに母を亡くし、そのトラウマを抱えながら、30歳で夭折した病弱の画家を紹介していた。幼少期の作品から始まるが、やがて生きることや制作に対して、自問する詩とともに、彼女の苦しみを辿るような重苦しい絵の展示が続く。が、長野・麻績村に移住して父と農作業しつつ、子どもに絵を教えていたときの風景画だけがほかとは全然違い、穏やかだった。もっとも、生前に本人が好んで聴いていた曲かもしれないが、会場で音楽を流す必要はあったのだろうか。 また、松本出身で、昨年市美術館で展覧会を開催していた山崎貴のアカデミー賞受賞記念企画展「山崎貴 監督の世界」が開催されていた(3/31まで)。『ゴジラー1.0』のメイキングも上映していたが、ハリウッド映画とは異なり、本当にローコストであり、アナログとデジタルと人の力を組み合わせ、映像を仕上げたことがわかる。

「山崎貴 監督の世界」の入り口

「須藤康花 —光と闇の記憶—」 展示風景

雪の松本城

鑑賞日:2024/03/12(火)