1910年ベルリンで美術評論家H・ヴァルデンによって発刊された美術・文学週刊誌のこと。1912年には同名の画廊も作られた。表現主義の活動にシンパシーを感じていたH・ヴァルデンは、彼らに発表の場を与えるべく『デア・シュトゥルム』を創刊した。O・ココシュカらブリュッケとW・カンディンスキー、F・マルクらブラウエ・ライターという二大表現主義グループが当初より参加している。誌面、画廊共にドイツに限らぬ汎ヨーロッパ的な前衛活動にも目を向け、イタリアの未来派、フランスのフォーヴィズム、キュビスムの活動も盛んに紹介された。1930年に前衛芸術を攻撃するナチに屈してH・ヴァルデンは活動をやめるが、『デア・シュトゥルム』を中心とした彼の前衛擁護活動が戦前のヨーロッパの前衛芸術に理論的支柱を与えたとも言えるだろう。
(苅谷洋介)
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