一般にポップ・アートはミニマリズムと表裏一体の関係にあるとみなされている。
1960年前後とほぼ同時期に出現したこと、それ以前の既存のモダニズムに対する批評性を含んでいること、それぞれ同時代の大量消費社会/高度工業社会に対応する形式となっていることなどがその理由だが、とすれば何もポップ・アートの射程をアメリカ一国に限定する必然性はない。アメリカにA・ウォーホルが、フランスにヌーヴォー・レアリスムが出現したのとほぼ同時期、紛れもなくイタリアにもイタリアン・ポップと呼ばれるポップ・アートの一形態が存在したのである。とはいえ、今この動向はほとんど回顧されることがない。これは、所詮はローカルな芸術運動にとどまってしまったこともあるが、本来代表的な作家であるはずだったJ・クネリスやM・ピストレットが、結局は後に参加したアルテ・ポーヴェラへと回収されてしまったことが大きい。だが、彼らが追求した貧しさの裏側に、ポップな大量消費のイメージを嗅ぎ取ることも決して不可能な話ではないのだ。
(暮沢剛巳)
関連URL
●A・ウォーホル http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/a-warhol.html
●M・ピストレット http://www.artcyclopedia.com/artists/pistoletto_michelangelo.html
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