もともとは、通常の絵画・彫刻の技法素材ではなく、今世紀初頭のダダやパピエ・コレに端を発する、“見出された素材(ファウンド・オブジェ)”によって構成された作品、もしくはその素材表記に用いられた用語。1970年中頃から美術ジャーナリズムによって使われ始めた。M・デュシャンが生み出したファウンド・オブジェという概念自体は、当初、ほとんど手を加えない既成の日用品(レディ・メイド)か、あるいはそうした日用品のいくつかを組み合わせたものを、あえて作品として提示することで、美術品の価値転換を目論んだものだった。しかし今日では、そうした意味は曖昧になり、絵画や彫刻を構成する素材の一部としてファウンド・オブジェを画面に付着させることや、さらに拡大解釈して、単に異種素材や技法の混合という意味で用いられることが多い。版画技法におけるミクスト・メディアは複数の技法の併用のことを指す。
(木戸英行)
関連URL
●マルセル・デュシャン http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/m-duchamp.html
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