「貼り付けられた紙」。新聞紙、切符、包装紙、写真などをキャンヴァスや紙などの支持体に貼り付ける技法。多様な素材を用いる重層的コラージュ技法の初期段階。G・ブラック(《ル・クーリエ誌》1913)やP・ピカソ(《藤椅子上の静物》1911−1912)ら初期キュビストが、1912年前後に過度な抽象化が招いた描写対象の現実感喪失という危機を脱するために日常的物質を画中に直接挿入したことに始まる。「現実の断片性」を失わずに絵画の「構成要素」ともなる両義的モチーフの導入によって、絵の内外を区別する従来の枠組みは無効となった。以後、キュビスムは分析的段階から総合的段階へと深化する。現実空間を「オブジェとして切り取って造形空間に直接挿入するという、20世紀美術の基礎的操作概念の形成にも寄与。この技法の発展上にダダ、シュルレアリスムのコラージュ、モンタージュ、ネオ・ダダのアサンブラージュなどの技法が生まれる。ほかにH・マティスなどがいる。
(陳岡めぐみ)
関連URL
●P・ピカソ http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/p-picasso.html
●H・マティス http://www.artloft.com/matisse.htm
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