自然の産物や人工物を「発見」し、美術作品やデザインのなかに生かすことで、偶然の発見、平凡さを見つめ直したり、通常そのものと結び付けられている意味の再評価などを示唆したりする。通常、1920年代後半にK・シュヴィッタースがアサンブラージュ作品「メルツ」の連作に市電のキップ、玩具の部品などのゴミを使ったのが始まりとされており、シュルレアリスムの作家たちもよく用いた。
1936年にロンドンで開催された国際シュルレアリスム展では流木、小石、枝などを使用することで、平凡な世界に内在する「不思議さ」の発見を強く印象づけた。
1950年代以降は、アサンブラージュ、ポップ、そして環境芸術とも関連して、ものに備わった社会的機能や意味を考え直させる力があることと素材やイメージとしてすぐに入手できる便利さからひんぱんに使われるようになった。現代工業デザインにおいては、日常に使用される感覚的な事柄や無意識に行なっている動作、あるいは現在使用されているありきたりのもののなかから新たな視点で用途や存在理由を見つけだす、アフォーダンスの実践のひとつとしてこの語が使用されることもある。
(紫牟田伸子)
関連URL
●クルト・シュヴィッター http://www.geocities.com/SoHo/Coffeehouse/4072/dada/merz.htm
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