村田真　原久子

page:1 page:2 椎原治展 「丹平写真倶楽部の研究」 入谷葉子展 中谷由紀個展「日一日と」 須浜智子個展 信用ゲーム 天神さまの美術 page:3 page:4 page:5	椎原治展「丹平写真倶楽部の研究」 　 12/3〜15　SAIギャラリー［大阪］ 　 　 故・椎原治は東京芸大で洋画を学んだ。当時の芸大に写真の講座はなかったかもしれない。大阪に戻った椎原は丹平写真倶楽部（1930年創立）の活動に参加。会場に並んだ作品は制作年に幅があり、それぞれ時代を感じさせるが、自由な発想で新しい写真をつくろうとする創造力と真摯な探究心が１枚１枚にあらわれている。 ［12月5日（水）　原久子］
入谷葉子展 　 12/3〜8　0ギャラリーeyes［大阪］ 　 　 入谷作品で以前見たものは版画の作品だった。この個展ではすべてがペインティング作品。どれもスポーツをする人の姿が描き出されている。ラケットを構える人、水中エアロビクスをする受講生とプールサイドで指導にあたるコーチなどなど。筋肉の動きも何もかもペイズリーのような細かな線の模様が入っている。筆の動きや、絵の具の厚みなどとは異なる絵画の表面が面白い。 ［12月8日（土）　原久子］
中谷由紀個展「日一日と」 　 11/29〜12/11　複眼ギャラリー［大阪］ 　 　 はじめて中谷由紀の作品を見た。B5〜A4くらいの小さなサイズのドゥローイング的なものが中心の個展だったが、どの絵も味わい深いほのぼのとした輪郭のキャラクターが登場する。詩的というか、童話っぽいというか、ひとつひとつに物語がたくさんつまっていそうで、想像力をかきたててくれるところが見ていて嬉しい。まだ京都市立芸大を出て間もない新人。今後の活動が楽しみな人が一人増えた。 ［12月8日（土）　原久子］
須浜智子個展 　 12/3〜8　ギャラリー白［大阪］ 　 　 まる〜いまる〜い、プクプクした作品たち。陶器で固いとはわかっているが、ムニュっと掴みたくなってくる。この作品は私のクラスの学生が好きなはず、と思って授業のときに須浜さんの作品を話題に出したら、案の定「大好きなんです〜」と。この大阪での個展のことは知らずに見に行けなかったようで、大いに羨ましがられた。1週間の展覧会はやっぱり短いよね。 ［12月8日（土）　原久子］
信用ゲーム 　 11/2〜12/24　インターコミュニケーション・センター［東京］ 　 　 おカネをテーマにした企画展。といっても赤瀬川原平のニセ千円札なんか出てないし、森村泰昌のセルフポートレート紙幣も中ザワヒデキのコインを使った作品も出てない。あくまでゲーム感覚でインタラクティヴに楽しむのがICCなのだ。そういえば10年ほど前、アイディアルコピーが外国のコインをオリジナル貨幣と交換する展覧会をやったけど、あれももはや古典的プロジェクトになってしまったのだろうか。ここでは地域通貨のように、金銭には換算しにくい多様な価値観をアートによって示そうとしている。たとえば、西村佳哲の《パワー・オブ・エン》は1円の電気料金分だけライトが光るという装置。実際に1円玉を入れたら数秒間光った。村山華子の《信用ゲーム 1：10000》は、秤にのせた箱に「愛を表現」するだけのおカネを入れ、作者からの「愛のプレゼント」1個を選べるという仕組み。ぼくは「コンサート100回分くらいの拍手をならすオルゴールプレゼント」という「贈物銀行小切手」をもらった。前者は明快だがただそれだけ、後者は他愛もないが「愛」はある。さて、21世紀のアートはどちらのほうに進むだろうか。 ［12月9日（日）　村田真］
天神さまの美術 　 11/2〜12/9　大阪市立美術館 　 　 菅原道真公にまつわるさまざまな作品が集められたこの展覧会。道真公の彫像がかなり出品されていたが、衣の袂の造形ばかりが気になって、どれもそこばかりを比較して見ていたので、顔の造りはほとんど覚えていない。「天神縁起絵巻」ってこんなにいろんなのがあったのか、と自分の無知さにさらに驚きつつも、絵巻にすっかりはまってしまった。絵巻を見ていると映像的な手法で流れがつかめて内容を理解しやすいし、アニメみたいでもある。日本美術史をやっている人が読むと笑われるかもしれない……こんなことに感心してしまう自分がまったく情けなくなるが、最終日に滑り込めてよかった。 ［12月9日（日）　原久子］

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