村田真 原久子
金村は「タイル」の造形を通してこれまでも作品をつくってきた。このたびは写真に記録として残せない(撮影不可能な)展覧会だったが、記憶には鮮明に刻まれている。タイルに映り込んだヴィジュアルを写真に撮り、それをさらにタイル状に正方形に区切り、目地の部分を加えて壁にタイルが張り込められたような展示になっている。画廊に入ると、ただの黒いタイルが張ってあるだけのように一瞬見えるが、そこには、女子トイレと男子トイレの手洗い場の様子が左右に展示され、さらに定番である男子トイレのタイルはブルー、女子トイレのタイルはピンクというのが、そこはかとなく印画紙に現われている。とはいっても、これはアーティスト本人から聞いたから、「はハ〜ん」と思うことかもしれない。私に作品を褒められたのは初めてだと作家から言われてしまった。そうだったかな……。 [12月11日(火) 原久子]