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展覧会レビュー

村田真

岩本拓郎展
  11/4〜16 かねこ・あーとギャラリー[東京]
 
 
岩本拓郎展
パープル主体の美しい色彩、破綻のない画面構成、達者な筆さばき……林田とは対照的に、どれをとっても優等生的にうまい。
[11月8日(金) 村田真]
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  真島直子展
  10/21〜11/9 ギャラリー川船[東京]
 
 
真島直子展
昨年の個展のときとほとんどまったく変わってない。それがいいのか悪いのかわからない。変わったのは、今年初めのバングラデシュ・ビエンナーレでグランプリを受賞したこと。グランプリなんかもらっちゃうと、見るほうもそれまで以上の変化を期待したくなるもの。でもグランプリもらって変わっちゃうのも浅いしな。ともあれ昨年ほどのインパクトはない。
[11月8日(金) 村田真]
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  すぎなみの表現者たちvol.1 アートスコープ
  11/8〜24 杉並会館ギャラリー[東京]
 
 
すぎなみの表現者たち

杉並区制施行70周年を記念し、杉並区民の並河恵美子と村田早苗が企画し、芦原義信設計の杉並会館で、杉並区在住の沖啓介、川上和歌子、西村智弘ら6作家が出品した展覧会。と書いただけで焦点がボケてくる。「アート」は見えないものを見えるようにしてくれる「スコープ」のようなもの、という企画意図はわかるが、どうせ並河さんと村田さんが企画するなら、もっと画廊や美術館がなくても展覧会ができるということを前面に出してもよかったし、どうせ杉並会館でやるならもっとおもしろい使い方を追求してもよかったと思う。そうでなければ区制70周年のご祝儀展で終わってしまう。
[11月8日(金) 村田真]

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アーカスプロジェクト2002オープンスタジオ
  11/9〜24 アーカススタジオ[茨城]
 
 
アーカスプロジェクト2002
今年はオープンスタジオも現代美術製作所での東京展も時期が早まったせいか、滞在アーティストは忙しかったようだ。作品制作が義務づけられてアーティストが締切に追われ、なんだか遊びが減ってるような気がする。ワラを積み上げた北山美那子のチャームポイントは小ブタ。ヴェンザの廃品サウンドインスタレーションもチャーミング。ダグラス・ロスの教えてくれた大洗美術館にも行ってみたい。
[11月9日(土) 村田真]
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アーティスト・イン・空き家2002
10/13〜11/10 墨田区京島地区[東京]
 
 
アーティスト・イン・空き家2002

「日曜だから」とブーブーうるさいにこブーとその母ブーを連れて京島散歩。「アーティスト・イン・空き家」は、カトリーヌ・ボーグランとディディエ・クールボのふたりが京島の空き家に住んで作品を制作。路上にミカンが落ちていたのはディディエのしわざか。ブー。ほかに藤浩志のいない「かえっこバザール」が開かれたり、家のなかを自転車で走り抜けたり、なんだか京島は無法地帯と化していた。帰りに激安の焼肉屋で食ったら煮込みが激うま。ここはほんまに日本か?
[11月10日(日) 村田真]

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狩野探幽展
  10/19〜12/8 東京都美術館
 
 
狩野探幽展

平日の午前。不忍池方面から上野公園に上っていくと、公園口から都美術館に向かって人が引きもきらずに行進していくではないか。ゲゲ、あれは探幽か日展か。日展でした。探幽は思ったほど混んでない。展覧会は「これが探幽だ!」「探幽様式の完成」「画壇制圧」「新たなる挑戦」というキャッチーな4部構成。17世紀の「画壇」を「制圧」した御用絵師としての公的作品が並ぶ3部までは退屈だったが、4部に入ると俄然おもしろくなる。「探幽縮図」と呼ばれる古画の模写や、勾配のゆるやかな富士山の近代的スケッチなどは現代人から見ても新鮮だ。実際、探幽といえば一時期、封建的画壇を築いて日本絵画を形骸化させた張本人として評価が低かったそうだ。やっぱり。
[11月13日(水) 村田真]

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  第34回日展
  11/2〜24 東京都美術館
 
 
第34回日展
上野駅を降りたお客はズルズルと日展会場に吸い込まれていくのだが、当日券売場の前にはまったく人が並んでない。みんな前売りか招待なんだろう。これがフツーの展覧会とは違うところ。今年の応募総数(総搬入数)は12,357点で、入選点数は2,154点。無鑑査を含めた総陳列点数は2,892点。入選および陳列点数はほとんど変わってないが、応募数はここ2年ほど徐々に減りつつあるようだ。むふふ。まず日本画394点を30分で見る。1点あたり5秒弱。さすがに技術的水準は高いと思うが、全体的な印象は変わりばえしない。とくに滝や水面を描いたものが目につくのは、日本画が水っぽいからか。洋画536点は45分かけて見たので、1点5秒ちょっと。日本画より0,5秒ほど多い。こちらは変わりばえしないどころか既視感が強い。それも「どこかで見たような」といった生やさしいものではなく、「たしか去年も同じ作品があったぞ」という確信に近いものだ。帰って調べてみると、庄司栄吉、奈良岡正夫、小川博史らは少なくともここ3年ほど同一モチーフ、同一構図の作品を出している。山名将夫にいたっては、モデルも着てる服もタイトルまでも同じ。もっとすごいのは近藤欣子。よーく見比べてみなければ違いがわからないほど、昨年とまったく同じものをまったく同じように描いているのだ。それはそれですごいともいえるが、しかしそれが日展を十年一日のごとく停滞させているのも事実。あと、抽象がまったくないこと、ヌードが10点ほどしかないことも明治期の文展を彷彿させる。ちなみに彫刻をのぞくと、およそ半分が女性ヌードで占められていた。このヌード率の高さはもちろん先進性を示すものではなく、まったく逆に思考停止、あるいは退行現象というほかない。
[11月13日(水) 村田真]
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第1回東山魁夷記念日経日本画大賞展
  11/2〜12/1 ニューオータニ美術館
 
 
第1回東山魁夷記念日経日本画大賞展
日本画を対象にした新しいコンペ。全国の美術館学芸員や評論家が作家を推薦し、6人の選考委員が大賞を選ぶという仕組みだが、これってVOCA展と似てない? しかも選考委員会の委員長はVOCA展と同じく高階秀爾。頼まれてやむにやまれず引き受けたんだと思いたいけど、ちょっとやりすぎではないでスカスカ。ちなみに6人の選考委員のうち4人までが美術館の館長というカンチョー度の高い顔ぶれ。VOCA展と違うのは、年齢制限が55歳と高いことと、推薦作品すべてを展示するのでなく、第1次選考で入選作14点に絞って展示していること。年齢制限が高いのは60歳でも「若手」と呼ばれる日本画界ならではのことだろう。展示作品を絞ったのは、作品サイズに制限がないので物理的に全作品の展示は不可能だからだ。なにしろ入選作だけでも10メートルを超す大作が3点もあるのだから。しかもそれらは乱暴にも半分程度しか展示されてないのだ。そんな「蛮行」が可能なのも、日本画の大作は連結パネルに描かれるという形式を採っているから。で、素人が見るとこのパネルの連結部の線が気にかかるのだが、その線に自覚的な作家がほとんどいないのはどういうわけだろう。どうでもいいけど。大賞は抽象的な内田あぐりと伝統的な浅野均のふたり。不思議な組み合わせというか、政治的な選択というか。そういえば第1回VOCA賞もタイプの異なるふたりだったなあ。
[11月14日(木) 村田真]
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