杉並区制施行70周年を記念し、杉並区民の並河恵美子と村田早苗が企画し、芦原義信設計の杉並会館で、杉並区在住の沖啓介、川上和歌子、西村智弘ら6作家が出品した展覧会。と書いただけで焦点がボケてくる。「アート」は見えないものを見えるようにしてくれる「スコープ」のようなもの、という企画意図はわかるが、どうせ並河さんと村田さんが企画するなら、もっと画廊や美術館がなくても展覧会ができるということを前面に出してもよかったし、どうせ杉並会館でやるならもっとおもしろい使い方を追求してもよかったと思う。そうでなければ区制70周年のご祝儀展で終わってしまう。 [11月8日(金) 村田真]
「日曜だから」とブーブーうるさいにこブーとその母ブーを連れて京島散歩。「アーティスト・イン・空き家」は、カトリーヌ・ボーグランとディディエ・クールボのふたりが京島の空き家に住んで作品を制作。路上にミカンが落ちていたのはディディエのしわざか。ブー。ほかに藤浩志のいない「かえっこバザール」が開かれたり、家のなかを自転車で走り抜けたり、なんだか京島は無法地帯と化していた。帰りに激安の焼肉屋で食ったら煮込みが激うま。ここはほんまに日本か? [11月10日(日) 村田真]
平日の午前。不忍池方面から上野公園に上っていくと、公園口から都美術館に向かって人が引きもきらずに行進していくではないか。ゲゲ、あれは探幽か日展か。日展でした。探幽は思ったほど混んでない。展覧会は「これが探幽だ!」「探幽様式の完成」「画壇制圧」「新たなる挑戦」というキャッチーな4部構成。17世紀の「画壇」を「制圧」した御用絵師としての公的作品が並ぶ3部までは退屈だったが、4部に入ると俄然おもしろくなる。「探幽縮図」と呼ばれる古画の模写や、勾配のゆるやかな富士山の近代的スケッチなどは現代人から見ても新鮮だ。実際、探幽といえば一時期、封建的画壇を築いて日本絵画を形骸化させた張本人として評価が低かったそうだ。やっぱり。 [11月13日(水) 村田真]