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ヴフテマス

Bxyтeмac(露), VKhUTEMAS(英)
更新日
2024年03月11日

「高等芸術技術工房」の意。1920年に工業生産のための技能を持った新しいタイプの専門家を育成する目的で設立された、芸術・技術大学。ストロガノフ芸術工芸学校を前身とするモスクワの第一スヴォマス(自由国立芸術工房)と、絵画・彫刻・建築学校を前身とする第二スヴォマスが統合されて誕生した。生産に役立つ技能を持った、新しいタイプの芸術家=職人を育成する目的で芸術教育が行なわれた。生産関係の学部(金属加工部、木工学部、陶芸学部、織物学部、印刷技術学部)、芸術関係の学部(絵画学部、彫刻学部)、建築学部から構成されていたが、すべての学生は平面における色彩、構成、形態や、色彩の同時性、空間におけるヴォリュームといった、造形の一般原理を学ぶ基礎科を履修することが義務づけられていた。構成主義および合理主義建築の中心的役割を担い、25年のパリ万国博覧会ではコンスタンチン・メーリニコフによる《ソヴィエト・パヴィリオン》をはじめ、学生や教員のデザインが数々の賞を受賞してロシアにおける構成主義を世界に喧伝した。27年、ヴフテマスはヴフテイン(高等芸術技術大学)に改変され、30年には解体された。ヴフテマスを基礎とし、モスクワ建築大学、モスクワ印刷技術大学、モスクワ織物大学芸術学部が設立された。

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補足情報

参考文献

『ロシア・アヴァンギャルド建築』,八束はじめ,INAX出版,1993
『ロシア・アヴァンギャルド4 コンストルクツィヤ 構成主義の展開』,五十殿利治、土肥美夫編,国書刊行会,1991
『ロシア・アヴァンギャルド』,亀山郁夫,岩波新書,1996
『夢見る権利 ロシア・アヴァンギャルド再考』,桑野隆,東京大学出版会,1996
『ロシア・アヴァンギャルド芸術 理論と批評 1902-34年』,J・E・ボウルト編(川端香男里訳),岩波書店,1988
『ロトチェンコとソヴィエト文化の建設』,河村彩,水声社,2014