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演劇実験室天井桟敷

Tenjou Sajiki
更新日
2024年03月11日

1967年1月1日に、寺山修司、横尾忠則、東由多加、九條映子らにより結成された劇団。見世物の復権、犯罪的な傾向、市街劇の上演などの方法を展開しながら、既存の演劇の制度に対する批判を展開した。第一回公演は67年4月の《青森県のせむし男》。戯曲と演出は主に寺山修司が担当。彼は既存の演劇にはないアイディアを通して、既存の演劇の制度への批判を展開した。例えば、体重100キロ前後の女性たちをただ舞台に並べる《大山デブコの犯罪》(1967)のような見世物の復権であり、舞台に実際のフリークスを登場させるといった犯罪的な傾向であり、また観客にチケットの代わりに新宿の地図を渡し、演劇を求めて街をさまよい歩かせる《人力飛行機ソロモン》(1970)のような市街劇の上演などが、この劇団の特徴である。ヨーロッパやアメリカの前衛演劇やアントナン・アルトーの演劇理論をとり入れた方法は、海外では高い評価を得、フランス、オランダ、イラン、アメリカで公演を行なった。83年に寺山が逝去、81年の《レミング 世界の涯てへ連れてって》が最後の作品となった。萩原朔美、若松武ら多くの作家・俳優を輩出したことでも知られている。

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参考文献

『別冊太陽 現代演劇60’s-90’s』,平凡社,1991
『寺山修司の戯曲』1〜4,寺山修司,思潮社,1969〜1971