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取手アートプロジェクト

Toride Art Project
更新日
2024年03月11日

1998年から始まった茨城県取手市を中心に展開するアート・プロジェクト。市民・行政・大学の三者共同で行ない、日本で市民が参加するアート・プロジェクトの草分け的存在である。取手アートプロジェクト(通称:TAP)は若いアーティストの創作発表活動を支援し、市民に広く芸術とふれあう機会を提供することで、取手が文化都市として発展していくことを目指している。主催は各年で少しずつ異なるが、いずれも取手市・東京芸術大学・市民で組織されている取手アートプロジェクト実行委員会が中心となって行なっている。1999-2010年のあいだはメインプログラムとして全国からの「公募展」と市内にあるアトリエの「オープンスタジオ」を隔年で交互に行なっていた。毎年テーマを定め、「家・郊外住宅」(2000)、「Take Me to the River 川を知る・川に学ぶ」(2002)、「1/2のゆるやかさ」(2004)、「取手井野団地 電気・ガス・水道・アート完備」(2008)など、地域の特徴に焦点を当てたものが多い。街の中で展示やパフォーマンスを行なうイヴェントのみならず、アーティスト・イン・レジデンスなどの「国際交流プログラム」や、市内の小学1年生全員を対象にした児童画展や学校へのアーティスト派遣事業などを行なう「こどもプログラム」、市内外の企業や団体との連携を行なう「環境整備プログラム」など、さまざまなかたちで地域へ働きかけている。2004-06年にはアート・マネジメントを専門にする熊倉純子、森司が中心となってアート・マネージャー育成事業「TAP塾」を展開した。10年より本部内の事務局がNPO法人化したことに伴い、メインプログラムが長期的な視点で行なえる「アートのある団地」と「半農半芸」に変更された。地域づくりとしての評価も高く、「国土交通省地域づくり表彰国土交通大臣賞」(2006)、「サントリー地域文化賞」(2007)などを受賞している。

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補足情報

参考文献

『アーツ・マネジメント概論 三訂版』,小林真理、片山泰輔監修,水曜社,2009