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ニュー・ブリティッシュ・スカルプチュア

New British Sculpture
更新日
2024年03月11日

1970年代後半から80年代初頭にかけて現われたイギリス彫刻の動向。A・カロ、P・キング、W・タッカーらによる60年代の構成的・抽象的な彫刻(ニュー・ジェネレーション・スカルプチュア)の次世代の動向として、有機的な形態やヴォリュームを復権させ、文学、神話、科学的世界観を取り入れた作家たちが台頭した。代表的な作家であるR・ディーコンは、作品にプラスチック、鉄、木材、ラバーなどの多様な素材を用い、生物的な形象を暗示するような作品を制作している。また、プラスチックの破片や工業製品の廃材を非構築的かつ流動的に組み合わせた作品でデビューし、その後彫刻の原形を物質の組成や分子や原子のミクロの世界、生命体の姿に求めるT・クラッグの作品は、視覚的な審美性、科学性、寓意性を主調とする。A・カプーア、J・オピーらの作品では、物質と形態の強度の充実が図られるとともに、彫刻の素材や主題が内包する社会的な拡張性や、イメージと物質との均衡が関心の対象となった。

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補足情報

参考文献

Modern British Sculpture,Guy Portelli,Schiffer,2005
Sculpture Since 1945 (Oxford History of Art),Andrew Causey,Oxford University Press,1998