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美学校

Bigakko
更新日
2024年03月11日

東京・神保町に所在する年齢・学歴・経験不問の美術学校。1969年に「従来のあらゆる芸術教育・芸術運動を見据え、あらたな正当性と徹底性を求め」、出版社現代思潮社により創立された(1975年に独立)。同出版社の編集者であった初代校長の川西宏、81年から2000年まで同校の代表を務めた今泉省彦らが主導し開校したが、二人は60年代前半から同人雑誌『形象』(美術思想・評論)の編集、松田政男や平岡正明らと思想塾「自立学校」の開校準備などに携わってきた。また、美術家の高松次郎、中西夏之、赤瀬川原平らハイレッド・センターのメンバーや音楽家の小杉武久との交友を通して「山手線円環行動」(1962)、「第五次ミキサー計画」(1963)、「第15回読売アンデパンダン」展および赤瀬川の「千円札裁判」(1963-1970)などにも、開校主導者の二人は同伴あるいは批判者として関与した。その経緯から、歴代の美学校講師には中西、赤瀬川、小杉が名を列ね、菊畑茂久馬、松澤宥、舞踏の笠井叡、映画の鈴木清順などの著名人も教鞭をとった。また、卒業生には南伸坊、渡辺和博、泉昌之(泉晴紀&久住昌之)らを輩出している。その一方で、技法別に分けられた版画の各コース、細密画、造形基礎などの講座が同校の特性を形成してきたことも忘れてはならない。2000年からは藤川公三が代表を務め、会田誠、松蔭浩之、中ザワヒデキ、斎藤美奈子などを講師に迎えた。近年ではフィギュア・デザインやモード研究などを含む現代メディアトレーニングコースも開講され、10年には岡山校も開校した。

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