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ファッション雑誌

Fashion Magazine
更新日
2024年03月11日

主にファッションに関する記事が掲載された雑誌の総称。『an・an』(平凡出版、1970年創刊)、『non-no』(集英社、1971年創刊)、『JJ』(光文社、1975年創刊)、『CanCam』(小学館、1982年創刊)、『sweet』(宝島社、1999年創刊)など女性誌に限定した場合でも、さまざまな「ファッション雑誌」が各時代で多くの読者を獲得してきた。「オリーブ少女」や「sweet系」など、雑誌名が特定のファッションのスタイルを指すようになることもある。また、「アンノン族」の特徴である旅、『LEON』が提案した「ちょいワルオヤジ」など、雑誌が新たなライフスタイルの創出の契機となることもあった。
ただし、「ファッション雑誌」は雑誌カテゴリーとして明確な定義が与えられているものではない。例えば日本雑誌協会の分類に「ファッション雑誌」はなく、一般的に「ファッション雑誌」と呼ばれる雑誌の多くは「ライフデザイン」というカテゴリーで括られている。また、『出版年鑑』(出版ニュース社)では、これまで「婦人誌」、「婦人雑誌」、「生活誌」、「スタイルブック」、「服装雑誌」、「服飾雑誌」など、さまざまな呼び名が使われてきたが、これらは現在の「ファッション雑誌」とは必ずしも一致しない。こうした定義の難しさが、日本における「ファッション雑誌」の起源の特定を困難にしている。「ファッション雑誌」という言葉の使用のみに注目するならば、63年の『装苑』読者投稿欄において使われており、また、『出版年鑑』では創刊した『non-no』に対して「ファッション誌」という雑誌カテゴリーが用いられている。このことから60年代なかばから70年頃には、特定の雑誌群を指す雑誌カテゴリーとして「ファッション雑誌」という言葉が使われ始めていたと考えることができる。

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参考文献

『都市文化研究』12号,「日本における『ファッション誌』生成の歴史化 『装苑』から『アンアン』まで/『ル・シャルマン』から『若い女性」まで」,井上雅人,大阪市立大学大学院文学研究科都市文化研究センター,2010
『マス・コミュニケーション研究』76号,「『服飾雑誌』の歴史的成立 1950〜60年代の『装苑』の誌面構成と読者の変容に焦点を当てて」,kudo,日本マス・コミュニケーション学会,2010