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プロジェクションマッピング

Projection Mapping
更新日
2024年03月11日

建物などの立体物をスクリーンとして見立て、映像を投影すること。投影する物の形状に合わせて映像を作成し密着するように映像を投影するため、映像があたかも立体物の一部であるかのように見える。投影に使われる光は立体物へのダメージがほとんどないため、歴史的建造物といった文化財などに投影されることも多い。1960年代のエクスパンデッド・シネマから派生したと考えられ、マイケル・ネイマークの《Displacements》(1980-84)や、トニー・アウスラーの《感情移入──人形とダミー》(1993)などが初期の作品と考えられる。投影物の形状に合わせて映像を変形させるいわゆる「マッピングソフト」の能力が向上すると、建物などに投影する大規模なプロジェクションマッピングが増加しイベントなどで利用されはじめ、日本においては東京駅の駅舎をスクリーンに見立てた《TOKYO HIKARI VISION》(2012)がプロジェクションマッピングが広く認知されるきっかけのひとつとなった。また、クラウス・オーバーマイヤーらによる動く人体だけに別の映像を投影した《Apparition》(2004)や、浅井宣通(WOW)による顔へのプロジェクションマッピング《INORI – PRAYER-》(2017)など、人体の形状に合わせて投影したものもプロジェクションマッピングといえるだろう。

補足情報

参考文献

「名古屋国際ビエンナーレ・ARTEC」第3回(’93)公式カタログ,1993
Presence journal 14.5 Special Issue on Projection,MIT Press,2005
『美術手帖』1993年11月号,美術出版社,1993
『Beyond the Display 21世紀における、現象のアートとデザイン』,岩坂未佳編著,ビー・エヌ・エヌ新社,2015