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明度

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更新日
2024年03月11日

色の三属性(色相・明度・彩度)のひとつで、色の明るさ、暗さを表わすときに使う。明度は物体の表面からの光の反射率で測られる。光をすべて反射する色=光の反射率が高い「白」は明度が最も高く、光をまったく反射しない色=光の反射率が低い「黒」は明度が最も低い。また、色みのある有彩色では、白、黒、あるいは階調のあるグレーに置き換えることで、明度を測ることができる。例えば、黄色は非常に薄いグレー=光の反射率が高い=明度の高い色、青色は黒あるいは黒に近いグレー=光の反射率が低い=明度の低い色、と言い表わすことができる。こうした明度は、反射率100%の白色を10として、0から10までの数値で表わされ、色見本などで用いられている。透明度のある物体に対しても明度は使われ、黒から無色透明までこの尺度で測ることができる。明度の高い色と低い色を同じ画面に並べることで、それぞれを単独に見たときよりも、明るいものはより明るく、暗いものはより暗く見える。道路標識などの図形や記号が、明度差を大きくとった無彩色と有彩色の組み合わせでつくられていることからもわかるだろう。こうした色相対比は、色彩学や心理学では研究課題のひとつとなっている。なお、目に入る光の量の違いからも、明度は異なる。その場合、対象物は明度で測られるが、光源の明るさについては「ルクス」という別の単位を用いることになる。

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参考文献

『アクリル画の色彩技法』,ウエンドン・ブレーク(蟹瀬誠一訳),美術出版社,1981
『色彩学概説』,千々岩英彰,東京大学出版会,2001
『色彩科学事典』,日本色彩学会,朝倉書店,1991
『カラーデザイン公式ガイド 技巧編』,小嶋真知子(ヒューマンアカデミー監修),美術出版社,2009