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《CCTV(中国中央電視台)》OMA

CCTV(China Central Television), O.M.A.
更新日
2024年03月11日

北京に建つ中国の国営テレビ局である《中国中央電視台本社ビル》は、2002年に開催された国際建築設計競技の結果、レム・コールハース率いるオランダの設計事務所OMAが設計者に選ばれ04年に建設がスタートし、08年12月に竣工した。この高さ234メートルの超高層ビルは、二つのタワーと、それらを地上と上空で繋ぐ、二つのL字型のブロックから構成されており、中心部に巨大な開口部を持つ特異な形状をしている。構造的にも非常に複雑で、構造設計はセシル・バルモントが率いるアラップ社のチームが担当した。コールハースはかねてより、中国に強い興味を持っており、1995年に初めて中国に訪れて以来継続して中国と関わりを持ち続け、同時期に開催されたWTC跡地の再開発コンペの参加を断念してまで、CCTVの設計競技に参加した旨をたびたび口にしている。また、本部ビルに併設された付属施設を収容する《電視文化センタービル》も、同様にOMAの設計によるものであり、2009年5月の完成予定で建設が進んでいたが、完成目前の2月9日、元宵節(旧正月を祝う行事)の違法な打ち上げ花火によって全焼し、死者を出す被害にあった。これは少なからずWTC世界同時多発テロを想起させる事件であり、コールハースがWTC跡地再開発コンペを断念したエピソードと相まって、建築業界に強い印象を残している。

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補足情報

参考文献

『行動主義 レム・コールハース・ドキュメント』,瀧口範子,TOTO出版,2004
『コールハースは語る』,レム・コールハース、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト(瀧口範子訳),筑摩書房,2008
『a+u』臨時増刊,CCTV by OMA,新建築社,2006

参考資料

『レム・コールハース ア・カインド・オブ・アーキテクト』,アップリンク,DVD,2009