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CTG(コンピュータ・テクニック・グループ)

CTG(Computer Technique Group)
更新日
2024年03月11日

CTG(コンピュータ・テクニック・グループ)は槌屋治紀と幸村真佐男の出会いをきっかけに、1966年12月に山中邦夫と柿崎純一郎を加えた4人(最終的に10名)で結成されたコンピュータ・アート集団。その設立趣旨は「芸術家・科学者・その他の多くのジャンルの創造的な人々との共同作戦によって、人間と機械との関係を冷静に見つめ、人間の生き方を考えてゆく」(CTG マニフェスト,1967年4月)ことにあった。その作品群はCG(コンピュータ・グラフィックス)やムーヴィーに留まらず、「インタラクティヴ」や「インスタレーション」など、その後のメディア・アートのキーワードとなる形式や方法の萌芽が多数含まれていた。CTGの代名詞であるジョン・F・ケネディやマリリン・モンローのポートレイトおよびモーフィングの先駆となったCGは、68年、アメリカの月刊誌『Computers and Automation』の第6回コンピュータ・アート・コンテストおよび展覧会「サイバネティック・セレンディピティ」(ICA、ロンドン)を通じて海外でも知られることとなった。同年9月に「コンピュータ・アート展:電子によるメディア変換」(東京画廊)を開催し、「光や音ならびに人間の行動は、コンピュータによる電子化を通じて、CGや絵画に変換(さらには相互交換)が可能である」というコンセプトを具現化したインタラクティヴ描画装置《APM(Automatic Painting Machine)No.1》を発表した。CTGはその作品群と活動を通じて、コンピュータが単なる電子計算機にとどまらずアートを表現するメディアにもなりうることや、やがて「メディアを統合するメディア」になる潜在能力を持つことを示唆した。グループは3年弱の短期間に爆発的に作品を発表した後、69年10月に「解体」した。

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補足情報

参考文献

Computers and Automation,The Sixth Computer Art Contest,Berkeley Enterprises,August,1968
Cybernetic Serendipity – The Computer and The Arts,Jasia Reichardt,ed.,Studio International,1968
The Computer in Art,Jasia Reichardt,ed.,Studio Vista,1971
『デザイン』1968年2-4月号,連載=コンピュータによるグラフィック・デザイン1-3,CTG,美術出版社
『COMPUTOPIA』1969年7月臨時増刊号,「コンピュータ・メディア・観念」,幸村真佐男,コンピュータ・エージ社

参考資料

『Cybernetic Serendipity Music』,V.A.,ICA,LP,1968
『Computer Movie No.1』,CTG,1969
『Computer Movie No.2』,CTG,1969
『computer + something』,CTG,1969