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VR/AR/MR(ヴァーチュアル・リアリティ/オーグメンテッド・リアリティ/ミクスト・リアリティ)

VR/AR/MR(Virtual Reality/Augmented Reality/Mixed Reality)
更新日
2024年03月11日

ヴァーチュアル・リアリティ(以下、VR)とは、ユーザの入力に応じてシミュレーション・システムで生成した人工的な現実情報を視覚や触覚などの感覚としてユーザへ出力するシステムや技術のことであり、人工現実感、仮想現実とも呼ばれる。初期のVRについては定義によりその年代が異なるが、コンピュータを用いたVRとしては、1968年に開発されたアイバン・エドワード・サザランドによるヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display:HMD)や、ノースカロライナ大学のフレデリック・ブルックスらにより67年より開発が進められた力覚デバイスなどがある。また、マイロン・クルーガーによる《METAPLAY》(1970)がウィスコンシン大学のメモリアル・ユニオンギャラリーで展示されており、初期のVR作品とも考えられる。この後、ジェフリー・ショーによる《レジブル・シティ》(1988-91)や、クリスタ・ソムラー&ロラン・ミニョノーによる《A-Volve》(1994)といったインタラクティヴ・アートのひとつとしてVRが応用されている。2013年にはOculus社によるRift Development Kitが発売され、エンターテイメント業界を中心にHMDによるVRが普及しており、アートやエンターテイメントに限らず、産業や医療、教育、福祉などで応用が始まっている。
オーグメンテッド・リアリティ(以下、AR)とは、主として視覚になんらかのデジタル情報を付加することであり、拡張現実とも呼ばれる。ARはVRから派生したとされる。カメラのリアルタイム映像に位置や空間に応じた情報を付加する手法が一般的で、スマートフォンアプリ「セカイカメラ」(現在はサービス終了)や、『Flightradar24 | フライトトラッカー』『Pokémon GO』といった情報提供やゲームなどのサービス、飛び出す絵本などいわゆる仕掛け絵本アプリなどが知られている。また、VR作品として知られるジェフリー・ショーの《Golden Calf》(1994)や、岩井俊雄による《メディア・テクノロジー~7つの記憶》(1997)は初期のAR作品とも考えられる。
ミクスト・リアリティ(以下、MR)とは、VRとARとを融合する概念で複合現実とも呼ばれる。MRでは主に専用のHMDを利用することが多いが、VRやARと異なるのは、HMDに搭載されたセンサーにより周囲の空間を認識し、それを反映させることである。これにより指のジェスチャーで操作をしたり、空間に実寸の設計図を投影したりできる。現実空間との親和性が高いことから主に産業面での応用が期待されている。

補足情報

参考文献

『バーチャルリアリティ学』,日本バーチャルリアリティ学会編,コロナ社,2010
『VRビジネス調査報告書2018』,森田秀一、インプレス総合研究所,インプレス,2018
『メディアアート国際シンポジウム“アート&テクノロジー”──時代の変遷、同時代の動向、これからのプラットフォーム─報告書』,石戸谷聡子、小野寺啓、千葉薫、廣田ふみ編,アーツカウンシル東京,2017
『ICCコンセプト・ブック』,NTTインターコミュニケーション企画編集,NTT出版,1997
Computer Graphics Volume 24 Number 4,“Project GROPE: HapticDisplays for Scientific Visualization”,1990