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2009年03月01日号のバックナンバー

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フォーカス

2009 AICA USA AWARD ──国際美術評論家連盟米国 AICAアート・アワードにみるアメリカのアート・シーンが迎える転機

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[2009年03月01日号(梁瀬薫)]

キュレーターズノート

京都造形芸術大学 映像舞台芸術学科 高嶺・森山クラス授業発表公演「美しい前歯-Roads to Lebanon-」

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[2009年03月01日号(能勢陽子)]

 高嶺格の作品を観た後には、特別な手触りと、喉の奥に刺さったまま抜けない棘のようなもどかしさが残る。昨年は山口情報芸術センターの「大友良英/ENSEMBLES:orchestras」の出品作品、せんだいメディアテークの個展「大きな休息──明日のためのガーデニング1095m2」を観に行ったが、そのためだけに遠方に足を運ぶに十分な、しばらく余韻が残り続けるものであった。こうした展覧会に出会ったとき、国際展などで瞬時に価値判断をしながらいくつもの作品を観ていくような状況は、やっぱりちょっと異常で、せめてその制作にかけた作家の時間や思考に少しでも寄り添いながら、じっくり作品に向き合いたいと思わされる。高嶺は、過ぎ去る時間や当たり前と思われている社会的事柄の流れに、生のノイズとともに棹さして、私たちを立ち止まらせることのできる稀有な作家である。その高嶺が、今回で二回目となる、京都造形芸術大学の学生たちとともに制作した舞台の公演を行なった。

スタン・アンダソン「東西南北天と地──六合の一年」

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[2009年03月01日号(伊藤匡)]

 群馬県立近代美術館で、アメリカの彫刻家スタン・アンダソンの個展が開かれている。今回の展示は、アンダソンが5年前からアトリエを構える、群馬県の六合(くに)村の森をテーマにしたインスタレーションである。六合とは、六合村のことでもあるが、古事記や日本書紀では東西南北上下の六つの方角を指し、天下、世界を意味するという。

ミュージアムIT情報

価値生成をめざすアーキテクチャの実験

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[2009年03月01日号(須之内元洋)]

 連載の最終回は、継続的に情報の編集が行なわれ、そのことによって価値を生み出し続けるオンラインメディアの試みを二つ紹介したい。前回の話のなかで、超・情報過剰時代のウェブにおいては、編集そのものが価値を生むことを改めて確認した。今回取りあげる二つのオンラインメディアは、その目的、扱う情報の種類や規模、想定するユーザ、編集の手法やシステムの仕組みはまったく異なるものの、どちらも既存の情報を編集する過程を通じて継続的に価値が提供されるようなメディアを目指している。今回紹介させていただくようなオンラインメディアを構築する際には、メディアが根を張るウェブの情報環境がどうあるかということだけでなく、扱う情報の種類や規模、関与するユーザ(運用者、閲覧者、参加者)、情報インタラクションのフロー、使い勝手や見た目などといった所与の条件間の関係を細かく調整、レイアウトしながら、システムとインタフェースの細かなデザインが要求される。万能の方法のようなものは存在しないが、二つのケーススタディを通じて、その仮説とわれわれのアプローチを紹介させていただくことで、なにかしら新たなオンラインメディア構築の際のヒントになれば幸いである。

artscapeレビュー

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