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2010年04月15日号のバックナンバー

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フォーカス

去勢された20世紀的身体への訣別──「森村泰昌展・なにものかへのレクイエム──戦場の頂上の芸術」レビュー

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[2010年04月15日号(土屋誠一)]

 2006年から開始されたシリーズ「なにものかへのレクイエム」の完結である。この個展は、ポストモダンの時代における、シミュラークルの戯れという脱社会的立場を棄て、成熟した歴史主義者として社会的コミットメントへと向かう、といったような、森村の思想的転換を宣言するものであるのだろうか。そのような読解は、完全に誤りであるとは言えないにせよ、森村および彼の作品の特質をかなりの程度見落とすことになるだろう。ここで起こっている事態は、それほど単純ではない。

キュレーターズノート

アジア・アート・アワード・フォーラム

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[2010年04月15日号(渡部里奈)]

 近年、急激な経済発展を背景に、東アジアにおける現代アートシーンとアートマーケットのヒエラルキーが大きく変化し、その中心地が中国、韓国へシフトしつつある。特に今回訪れた韓国では、美術館が大企業のサポートを得るかたちで、海外の高等教育機関で養成されたスタッフが配され、また一方では行政レベルで、情報メディア産業の集積や、経済・文化・環境と調和を保った連携的発展を目指し、グローバルな視点にもとづいた展開が戦略的に行なわれている。国際的なフォーラムやフェスティバル、展覧会などが発信される重要な起点として韓国が位置づけられつつあることを実感させられる。

ARITA-mobile/祝祭と祈りのテキスタイル──江戸の幟旗から現代のアートへ

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[2010年04月15日号(坂本顕子)]

 どうもいま、佐賀が熱いらしい。そんな噂を、昨年あたりからよく耳にした。縁あって今回、その噂の真偽を確かめる機会がようやく巡ってきた。佐賀の「熱さ」の源泉とはなんなのか。筆者が見たその一端をご紹介したい。

アート・アーカイブ探求

萬鉄五郎《裸体美人》──縄文的斜めの前衛「千葉瑞夫」

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[2010年04月15日号(影山幸一)]

アートプロジェクト探訪

東京文化発信プロジェクトの現場を探る──アーティストwahのプロジェクト現場にみる価値判断と意思決定について

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[2010年04月15日号(久木元拓)]

  前回紹介した東京文化発信プロジェクトには、「学生とアーティストによるアート交流プログラム」という事業がある。これは、学生が地域や社会のなかでアーティストと交流・協働し、その活動の成果を社会に発表するもので、アートやアーティストの創造性が生かされる内容であれば、美術、演劇、音楽などの芸術文化にとどまらず、まちづくりや環境、福祉などさまざまな分野の活動も対象となるものである。これらの実践の場で、学生にアートを通じて多様な経験をする機会を提供することが目的とされている。今回はそのプログラムのひとつで、筆者の所属する首都大学東京が企画運営を行なった「ひののんフィクション」に焦点をあて、アートプロジェクトのコミュニケーションプロセスについて考えていきたい。

ボーン・デジタルの情報学

第5回:CiNiiの挑戦

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[2010年04月15日号(大向一輝)]

 研究者間の知識流通を担う学術論文は、デジタル化によってその姿を大きく変え、研究者個人だけでなく学会・図書館・出版社などの組織のあり方にまで影響を及ぼしている。  これらは、学術というある意味閉ざされた世界の出来事にすぎないものの、一般社会との関係が厳しく問われるなか、社会にとって意義のある活動として認められるよう、デジタル化された学術情報を活用しようという動きが始まっている。  今回は、筆者が設計・構築・運営に関わっている論文情報ナビゲータ「CiNii(サイニィ)」を通じて、学術情報サービスの変化とその展望について論じていく。

artscapeレビュー

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